メトロポリターナ編集部が、東京メトロ沿線で見つけたいろいろなことを気ままにご紹介。旅行好きの編集部スタッフが偏愛する国を紹介しつつ、メトロ沿線で食べられる、その国の美食をナビゲート!
京橋/Dhaba India
前編では、私が去年旅した、南インドのアーユルヴェーダについてご紹介しました。アーユルヴェーダとともに、私が南インドに魅力を感じた理由は、その伝統料理にあります。プロフィールの通り、カレーの食べ歩きが趣味の私。じつは、数年前まで「インドカレー」をひとくくりにしていました。
(ここで、「え? 違うの?」と思った人は、おそらくまだ南インドのカレーを知らないのだと思います。こってりとしたチキンやマトンが入ったカレーに、雫のような形でふかふかに焼かれた大きなナン。それこそが、王道の「インドカレー」なのだと思っている人にこそ、早く南インド料理を食べていただきたい!笑)
私は南インド料理と出合い、インドカレーの概念が見事に覆されました。まず南インドのカレーを例にあげると、こってりしたものが少なく、スープカレーのようなものもあれば、逆に水分が少ないドライカレーもある。さらに、インド北部のカレーと断然違うのが、スパイスやハーブの使い方なんです。北部では、ナンや小麦粉を練ったパンのようなものを主食としているのに対し、南インドの主食は米。肉や魚などは最小限に、豆をたっぷりと、ココナッツやフレッシュなコリアンダーを使うことも特徴的です。
南インド料理は、すべてに共通して、さらっとした食感なのに、フレッシュなハーブとスパイスが織りなす芳醇な香りが、なんとも心地のよい味わいを生み出しています。
南インド料理が好物になって以来、都内で数々の南インド料理屋さんをめぐっていますが、本場の味を楽しめる私のおすすめのお店が、今回ご紹介する「ダバインディア」です。

なかでも、私がいちばん好きなのが、マサラドーサ。ドーサとは、米と豆でつくった生地を発酵させ、クレープのように薄く焼き上げる、南インド伝統料理のひとつ。現地では、屋台などでも振る舞われ、軽食やスナック感覚で食べられる料理ではありますが、その大きさは軽く60〜70cmくらいのサイズ。いくら薄いとはいえ、とても食べごたえがあるので、私は南インド料理専門店にこれだけを食べに行くこともあります。

円柱型や筒型など、さまざまなかたちになって銀皿にサーブされるのが一般的なドーサですが(より伝統を重んじているところだと、バナナリーフにサーブされるところもあります)、マサラドーサのほうは、ポテトマサラというジャガイモの炒めものを包んであるのが特徴。かたちは筒型で提供しているお店が多いようです。
マサラドーサと一緒についてくるのは、マスタードシードが香るスパイシーなスープカレー「サンバル」と、ココナッツがベースのまろやかなソース「ココナッツチャツネ」が定番の組み合わせ。食べ方にルールはありません。中のポテトマサラをクレープで包んで食べるのもよし、それをサンバルやチャツネにつけて食べるのもよし。チャツネをカレーに入れてまろやかな風味にして味わうなどなど。

「ダバインディア」のドーサの特徴は、なんといってもそのパリッとした食感! これまで私が食べたドーサのなかでも、そのパリッと感はいちばんです。その食感の秘密を、店長にうかがいました。
「当店では、南インドのタミルナドゥ州出身の料理人がドーサを焼いています。現地の味を追求するために、生地に使われる豆や米を挽く石臼や鉄板は、インドから輸入したものを使用しています。軽く200キロを越える重さの分厚い鉄板は、大きいドーサでもパリッと仕上げることができるんです」
キッチンの手前側、客席からも見える場所に、ドーサを焼く鉄板が見える「ダバインディア」。あの鉄板が、まさかインドから届いたものだったとは。
「ダバインディア」では、マサラドーサ以外にも、6種類のドーサがあり、それぞれ違った味わいが楽しめるほか、さまざまなメニューが一度に食べられる南インド式の定食「ミールス」や、単品料理まで、本場南インドの伝統を感じるメニューがたっぷり揃っています。


「ダバインディア」は、いつ行っても満席のにぎわいなので、ぜひ予約してから行ってみてください(予約は夜のみ2名さまから可)。ランチタイムなら、13時以降の時間が狙い目。南インドの魅力を、ぜひ味わってみてください!
DHABA INDIA
中央区八重洲2-7-9 相模ビル1F
[TEL]03-3272-7160
[営]11:15〜(L.O. 14:30)、17:00〜(L.O. 20:30)
[休]無休
http://dhabaindiatokyo.com
渡邉絵梨(わたなべ えり)
メトロポリターナ編集部員。旅と散歩と美食が大好物。趣味は、カレーとプリンの食べ歩き。エシカルやサステナビリティへの関心が高い。