メトロポリターナ編集部が、東京メトロ沿線で見つけたいろいろなことを気ままにご紹介。編集部員・大谷が旅気分を楽しめるフリーペーパーをご紹介します。
中目黒/ONLY FREE PAPER TOKYO
旅行に行きたくてしかたない、メトロポリターナ編集部の大谷です。最近、インターネットで行きたいところを調べては、地図アプリや動画アプリで擬似的な観光をしています。けれど、やっぱりもの足りません。別の方法で、もっと旅行気分を楽しめるものはないかと探していました。
そんなときに、たまたま自室で目に止まったのが、旅先の函館で見つけてきたフリーペーパー。読んでみると、実際に住んでいる人たちの目線から見えてくる土地の魅力が一冊に詰まっていて、旅気分を味わうことができました。ということで、今回は『旅気分を味わえるフリーペーパー』をご紹介!

中目黒にあるフリーペーパー専門店「ONLY FREE PAPER TOKYO」は、日本全国のいろいろなフリーペーパーが集まるお店です。街や土地、人にフォーカスした内容のものや、個人の偏愛が詰まったニッチな内容のものなど、個性豊かな面々が、机や棚に所狭しと並んでいます。もちろんすべて、テイクフリー。いつ行っても新しいものに出合えるのも楽しいのです。
WEBサイトでは、同店のスタッフがセレクトしたフリーペーパーのセット販売もしています。厳選したフリーペーパー20冊が届く「OFP SELECT BOX」(3300円)と、当月入荷のすべてのフリーペーパーが届く「OFP MONTHLY BOX」(5500円)の2種類です。なかなかお店に足を運べない方やフリーペーパーマニアの方には、うれしいサービスですよね。
今回、こちらのお店で見つけた、旅気分を満喫できるフリーペーパーをご紹介したいと思います。
高岡市の歴史・文化を発信するフリーペーパー「高岡発瓦版」

一見、新聞のように見えるこちらのフリーペーパーは、富山県高岡市が発行する「高岡発瓦版」。最新号の伏木・北前船編では、港町として栄えた高岡市の歴史をわかりやすく、ダイジェストで楽しめます。
とくに面白かったのは、昆布にまつわる食文化の話です。富山県は、昆布の消費量が日本の中でもトップクラスだそう。郷土料理である、食材を昆布で挟んだ昆布締めや、名産品の昆布を巻いた蒲鉾など、富山県民にとって昆布は馴染み深い食材なのです。ですが、富山県では昆布がとれません。なぜ、こんなにもたくさん消費されているのかというと、江戸時代に物流拠点として栄えた名残だといいます。
大阪から瀬戸内海・日本海を経て北海道までを航海していたという交易船は、さまざまな物資を運んでいました。その際、北海道から大量の昆布が運び込まれたことから、富山県の昆布の食文化は発展し、いまでも昆布を食べる習慣が根付いているそうです。
「高岡発瓦版」には、街歩きマップもついています。おすすめのご飯屋さんや名跡などが記された地図は、見ているだけで街歩き気分が楽しめます。この一冊で、高岡市の歴史や文化のこと、さらには街のことも知ることができました。
松山市の魅力が詰めこまれたフリーペーパー「暖暖松山」

創刊から8年目を迎えた、愛媛県松山市が発行するフリーペーパー「暖暖松山」。松山市に暮らす人たちが街の魅力を教えてくれます。
おしゃれなカフェや雑貨屋さんなど、ローカルな話題がたくさん詰め込まれた一冊。なかでも、とくに好きだったのは、移住した方たちのインタビュー記事です。その土地出身ではない人が、惚れ込んで移り住んだ理由を語っています。どの方たちからも松山に対する愛を感じられて、僕もすっかり松山に魅了されてしまいました。
街の魅力を、いろんな角度から見つめている「暖暖松山」。読み終えたあとは、しばらく松山のことばかり考えてしまいました。まだ見たことのない瀬戸内海に、思いを馳せ、いつか必ず行こうと思いました。
馬が目印のフリーペーパー「ミナミソウマガジン」

福島県南相馬市の「いま」を切り取った「ミナミソウマガジン」は、大きな馬の顔が目印のフリーペーパーです。普段は、年に2回、毎号ひとつのテーマを掘り下げ発信していますが、今年7月に発行された最新号は、南相馬市の伝統行事にフォーカスした特別号です。
千年以上の歴史を持った伝統的な夏のお祭り「相馬野馬追」と、そのお祭りに参加している家族に迫った内容でした。親子三代全員でお祭りの準備をする姿からお祭り当日の様子までを、写真と言葉でていねいに伝えていて、迫力があり、読み応えもある一冊でした。
なかでも個人的に惹きつけられたのは、お祭りで登場する馬の表情です。穏やかで優しく、ときに凛々しいその顔つきからは、飼い主との強い絆を感じることができます。
読み進めていくうちに、心なしか青々とした草原の匂いやお祭りの音を写真から感じてしまうほど。まるで現地で見ているかのように楽しむことができました。
今回ご紹介したもののほかにも、地方発信のフリーペーパーは、まだまだたくさんあります。それぞれに違った個性があって、その土地の魅力をいろいろな切り口で紹介しています。当然、旅行誌やインターネットなどでは、知ることのできないような情報ばかりです。
そのほかにも、ひたすら灯台のことを紹介するフリーペーパーやある地域のバーだけを紹介したフリーペーパーなどを地図がわりに、偏愛をたどる旅も楽しそうだなと思いました。皆さんも、気になる土地のフリーペーパーを探して、旅気分を味わってみてくださいね。
ONLY FREE PAPER TOKYO
目黒区中目黒3-5-3 Space Utility TOKYO内
[TEL]03-3792-2121
[営]13:00〜18:00
[休]月・火・日・祝
※Space Utility TOKYOの営業に準じて変更あり
詳しい営業時間は、店舗までお問い合わせください
http://onlyfreepaper.com
大谷光(おおたに ひかる)
メトロポリターナ編集部員。東京都小平市出身。東京23区エリアを日々探索中。でも、多摩地域と函館西部地区が心のオアシス。