Text: Sayoko Kusaka Photos: Shigeo Kosaka Edit: Kohei Nishihara(EATer)

theme #03 女性の健康課題に対する男性意識の現在地[フェムトーク]


女性の心と身体の「ケア」を考え、よりよい未来に繋げる「Fem Care Project」。本誌編集長・日下紗代子が、さまざまな人にお話を聞きながら、女性の健康課題や働き方について考えていきます。


ルナルナが白書を発表!?

 生理日予測サービスを通じて、多くの女性をサポートしている「ルナルナ」は、日本におけるフェムテックの元祖ともいえる。2020年にはサービス開始から20年。その節目の年に、女性のカラダとココロの理解浸透プロジェクト「FEMCATION(フェムケーション)」を立ち上げ、今年11月には女性の健康課題への理解・意識について調査した「FEMCATION白書」をリリースした。ルナルナはこれまでも女性を対象に調査することはあったが、今回はなんと男性からの声を集めてまとめた調査だという。その目的や結果について、ルナルナ事業部長の日根麻綾さんに話を聞いた。

 「2019年以降、フェムテックという言葉が普及し、生理やピルについて語られる機会も増えました。これまでも女性特有の悩みや声が取り上げられることはありましたが、あくまで女性個人の問題として扱われていたと思います。それがここ数年で、社会全体が解決するべき問題として認識されるようになりました」

 2000年にフィーチャーフォン向けのサービスとして誕生したルナルナだが、そのころは、まだまだ生理に対する社会の意識も低かったうえに、キャリア各社の公式サービスとして認められず、大手3社から承認されるまで7年かかったという。

 「当時からすれば、いまの状況はとても驚きです。でも一方で、いくら情報やサービスが増えても、そもそも知る機会がなかったり、周囲の目を気にして一歩を踏み出せなかったり、我々の思いが必要な人に十分に届いていないというもどかしさを感じてきました」

 このような背景から、FEMCATIONプロジェクトは生まれた。セミナー活動やアプリでの情報発信などを通じて、生理やピルへの理解を深めてもらい、女性の意識の変化には手応えを感じてきたという。しかし、男性の意識はどうなのか? 社会全体で寄り添いあえる環境を目指すには、女性と一緒に男性も知識をアップデートし、意識を変えてもらう必要があるはず。そのために男性の”いま”の意識や理解について調査し、まとめたものが、今回のFEMCATION白書だ。

 「職場においては、男性が生理について会話をする機会がほとんどない、という実態が見えました。ただ、女性の健康に関連した福利厚生が充実している企業に務める男性には、女性の健康課題に対する学習意欲をはじめ、解決意欲が高いという結果が出ています。このことからも、企業が適切な情報を提供する場となることは、有効的な手段だと言えるでしょう」

 

フェムテックが日常になる未来

 今回の調査では、多くの男性が女性の健康課題に寄り添おうとしている結果が見えた。日根さんは最後にこう語ってくれた。

 「女性特有の健康課題に対する理解が社会全体で深まれば、我々のFEMCATIONという理解浸透をはかる活動は、遠くない未来に不要になると思っています」

 ルナルナは、体調の記録、振り返りを通じて、生理周期のなかで、いつどういう変化や症状が起きているのか自分で理解してほしいという願いから生まれたサービスだ。こうしたサービスは増え、どんどんアクセスしやすくなっている。周囲の理解を促すと同時に、女性自身が自分のカラダやココロを気にかけ、より健康になろうという姿勢もまた、同じくらい重要なことかもしれない。“我慢”や“モヤモヤ”をそのままにせず、オープンにしていくことが、より生きやすい未来へとつながるのかもしれない。

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15〜49歳の男性1000人にアンケート調査をしたFEMCATION白書の全文は、ルナルナの公式ブランドサイトから見ることができる。
https://sp.lnln.jp/


《INTERVIEWEE》

女性が自分らしく生きるために

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〈about〉ルナルナ

ルナルナのスタートは、2000年。携帯電話向けWebサイトにおいて、女性向けの生理日記録・管理ツールとして誕生した。生理日を携帯電話で簡単に管理できるうえに、生理日などの予測機能を提供することで、多くの女性から支持を集めた。昨年の20周年を機に、「女性が自分らしく生きることをエンパワメントしてくれるサービス・ブランド」というメッセージを発表し、今後新たな活動も展開していく。

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株式会社エムティーアイ 執行役員 
ヘルスケア事業本部
ルナルナ事業部 事業部長

日根麻綾

2006年にエムティーアイ入社。子会社の広告代理店にてプロモーションやマーケティング、新規事業立ち上げを経験したのち、2012年6月より現職に着任。


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メトロポリターナ編集長
日下紗代子

10月からメトロポリターナ新編集長として就任。風邪を引かないのが強みだが、自身の身体のケアには少しウトイ自覚あり。

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Fem Care Project

「フェムケアプロジェクト」は、産経新聞社が主催する、女性の心と身体の「ケア」を考え、よりよい未来につなげるプロジェクト。女性特有の健康課題や働き方について情報発信をしながら考えていく。


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