巡行のスタート地点に集結する10基の山鉾

《京都》祇園祭2016 復活3年目 後祭の山鉾巡行10万人で賑わう


 京都・祇園祭は24日、2014年に前祭(さきまつり・17日)と後祭(あとまつり)に分かれて以来、3回目となる後祭の山鉾巡行(やまほこじゅんこう)が行われ、豪華な懸装品(けんそうひん)に彩られた10基の山鉾が、真夏の日差しが照りつける都大路をゆっくりと進みました。巡行のしんがりを務める「大船鉾」(おおふねほこ)の船首には、幕末に焼失し、今年復元された高さ約2メートルの龍頭が飾られ、見物客は盛んに拍手を送っていました。

今年復元された高さ約2メートルの龍頭が飾られた「大船鉾」


 後祭の巡行は午前9時30分、烏丸御池をスタートし、前祭とは逆のルートをたどって、四条烏丸を目指しました。
 京都市役所前では巡行の順番を確かめる儀式「くじ改め」が行われ、各山鉾の「正使」と呼ばれる代表が奉行役の大紋烏帽子(えぼし)姿の門川大作京都市長を前に、文箱の中のくじ札を差し出す所作を披露しました。文箱にかかったひもを扇子を使って器用にほどき、くじ札の入った箱を市長に対して差し出しました。

くじ改めで、文箱の中のくじ札を差し出す所作を見事に披露する黒主山の正使の少年


くじ改めに進む黒主山の正使の少年



くじ改めを行う「役行者山」の正使


 また、交差点では大型の山鉾が進行方向を度変える「辻回し」で見物客を魅了しました。
 京都府警によると、前祭の山鉾巡行には約32万人が、後祭では約10万人が見物したということです。後祭の巡行では過去最多の人出となり、祇園祭山鉾連合会の関係者は「後祭もずいぶん浸透してきたのではないか」と安堵した様子でした。
 巡行に参加する山鉾町は毎年、山鉾を飾るさまざまな懸装品を新調しますが、後祭の注目は、最後尾を進む大船鉾の舳先(へさき)に飾られた木製の龍の像「龍頭」でした。大船鉾は幕末の「蛤御門の変」で焼失し、150年ぶりに、一昨年から巡行に加わっていましたが、龍頭は設計図がなく、専門家の調査を基に今年完成にこぎつけました。

京都市役所前の交差点で、進行方向を90度転回する「辻回し」を披露する「大船鉾」


音頭方のかけ声に合わせて辻回しをする「南観音山」


巡行を無事に終えて町内に戻り、関係者と見物客が一緒になって5拍子の独特の手打ち「祝い締め」を行う「北観音山」


ご神体が楊柳観音であることから、北観音山は後部右側に柳の大枝を飾ります。巡行が終ると柳は人々に配られ、柳を手にすると厄除になるといわれています



 祇園祭山鉾連合会の理事長として初の巡行参加となった岸本吉博理事長は「天候にも恵まれ、沿道の人にも楽しんでもらえたのではないか」と安心した笑顔を見せていました。
 後祭は1965年まで行われていましたが、交通渋滞の緩和などを目的に前祭と一本化。2014年に伝統的なしきたりを残すために復活させました。


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