1994年の平安建都1200年の際に描かれた「祇園祭絵図屏風」

《京都》祇園祭2016  現代の壁画絵師、木村英輝が描く祇園祭


 京都を拠点にして内外で精力的に壁画を制作する絵師のキーヤンこと木村英輝さんが、祇園祭にちなんだ作品を京都高島屋に展示しています。約20年前に描かれた祇園祭屏風絵や山鉾のシンボルとなっている駒形提灯など、キーヤンならではの表現で祇園祭を彩ります。
 四条通に面した正面入り口にドンと飾られているのは六曲一双の「祇園祭絵図屏風」。高さ1メートル50センチ、長さは5メートル40センチに及びます。右隻には山鉾巡行の様子が、左隻には八坂神社のみこしを鴨川の水で洗い清める「神輿洗式」(みこしあらいしき)の様子などが描かれています。
 1994年、京都に平安京ができて1200年を記念し1年を通してさまざまなイベントが開かれた「平安建都1200年」のプロデューサーを務めていたときに、制作しました。「もともと絵を描いていたし、祭り好きだったから何か残したい」と思い立って絵筆を握りましたが、この作品はつい最近まで展示されることはなかたといいます。キーヤンは「子供のころは祭りといえばだんじり(岸和田だんじり祭)だった。それが鉾町と関わるようになって自分も京都人になりかけていたときに描いた作品」と振り返ります。壁画絵師としての活動を始める10年も前の貴重な作品で、現在の壁画の大胆な作風からは想像できないこまやかな筆致となっています。
 駒形提灯には、アユやコイ、ハモなどの魚と、賀茂ナスや満願寺トウガラシ、桂ウリなど夏を代表する京野菜が、ウルトラマリンと呼ばれるブルーで描かれています。一昨年制作しました。キーヤンは「祇園祭は疫病退散を祈願する祭り。猛暑の夏に無事過ごしてこられたのは京都の食材と工夫された食生活にあると思う。夏の恵みに感謝を込めて描きました」と話していました。画題は「Thanks the Summer」です。
 さらに同じモチーフでつい最近制作した新作屏風は7階に展示されています。丁寧に1枚1枚切り出して貼り付けた「螺鈿」(らでん)とミラーシートを使った新しい手法で表現しています。

魚と京野菜が大胆に描かれた駒形提灯


「祇園祭sズ屏風」の右隻には山鉾巡行の様子が描かれています


「螺鈿」(らでん)とミラーシートを使った新たな手法の作品


 魚と京野菜のモチーフは、永楽屋細辻伊兵衛商店とのコラボで手拭いが、宮脇賣扇庵とのコラボで扇子が作られています。
 京都高島屋の位置する四条通と河原町通の交差点は、山鉾巡行の最初のハイライトシーンなる山鉾が90度方向転換する「辻回し」が見られる場所です。京都高島屋宣伝部の齋藤妙子さんによると「動く美館品と呼ばれる山鉾の辻回しを目の当たりにして店内に入ってこられたお客さまにアート性の高いものを提供したい」と4年前から祇園祭に合わせて展示を始めたそうです。今年は後祭の行われる24日(日)まで展示しています。

金箔を背景してアクリルガッシュ絵の具で表現した新作。(左から)「五黄の寅「Symbol of Rich」」「Carp is Dragon in Heaven」


宮脇賣扇庵とのコラボ扇子


永楽屋細辻伊兵衛商店とのコラボ手拭い



今年も室町通の帯問屋「譽田屋源兵衛」の店先に飾られたコイの巨大タペストリー




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