金融苦手系女子のための連載第11回。お金の計算、節約が苦手なひよ子ちゃんの悩みを、ファイナンシャル・プランナーのヨーコ先生(甲斐洋子)が解決します。
職場の同僚から「格安SIMにしたら通信料が大幅に安くなった」と聞いたひよ子ちゃん。気にはなるものの、わからないことだらけでなかなか一歩が踏み出せません。今回は格安SIM乗り換え検討の第一歩として、格安SIMのなりたちや節約術としての有効性についてヨーコ先生が答えます。
★格安SIMとは?
ひよ子 :ヨーコ先生…「格安SIM」ってご存じですか?
ヨーコ先生:あら、突然どうしたの? 通信料の見直し?
ひよ子 :同僚が「格安SIMに変えたら通信料がだいぶ安くなった」って喜んでいたので気になっちゃって。ただ、「格安」とか聞くと、何か〝裏〟がありそうで、ちょっと怖いんです。
ヨーコ先生:裏って…、安心して。格安SIM、いわゆるMVNOサービスは、国も携帯電話3大キャリアサービスと並ぶ第4の選択肢として普及推進しているのよ。きちんと選べば通信料のカットにつながるわ。
ひよ子 :ああっ、ほら! またわからない単語がでてきた……!
ヨーコ先生:いいわ。今日は「格安SIM」について勉強しましょう。
ひよ子 :そもそも、格安SIMっていったい何なんですか? なんで「格安」なんですか?
ヨーコ先生:ズバリ携帯電話会社よりも比較的安い通信料で使えるSIMカードのことよ。最近はそういうSIMカードを販売している会社やそのサービスも指すわね。
ひよ子 :SIMカードって、スマホの中に入っている小さなカードのことですよね。機種変更の時に入れ替えたりする……。
ヨーコ先生:そうよ。中には、電話番号やユーザーの識別情報が記録されていて、電話をするにも、インターネットにつなぐにも必要なものよ。
ひよ子 :なぜ安いんですか?
ヨーコ先生:格安SIMを提供している会社は、自社では回線設備を持たず、ドコモやau、ソフトバンクといった3大キャリア(MNO)から回線を借りてサービスを提供しているの。こうした事業者のことをMVNO、仮想移動体通信事業者というのよ。回線設備に関わる投資や人件費が不要な分、3大キャリアより安くサービスを提供できるというわけ。
ひよ子 :なんかそれってズルくないですか?
ヨーコ先生:そんなことはないわ。むしろ、携帯電話の通信サービスを大手3社が独占している状態は、通信料やサービスの競争が行われず、市場にとっては不健康なのよ。ただ、新しい事業者に参入してもらいたくても使える電波の帯域には限りがある。そこで回線を借りてサービスを提供するMVNO、格安SIM会社が登場するわけ。
ひよ子 :なるほど。
ヨーコ先生:日本では2008年ごろから格安SIM会社が増えてくるけど、背景では、総務省が大手キャリアに回線設備を貸し渋らないよう求めたり、接続料の基準を年々引き下げたりして、新規事業者が参入しやすくなるよう働きかけていたのよ。
ひよ子 :全然知らなかった。今はどのくらい会社があるんですか?
ヨーコ先生:今年6月末の総務省統計によると、国内の格安SIM会社は552社ね。
ひよ子 :ご……ごひゃく!?! えぇ!?
ヨーコ先生:ただ、全体に占める格安SIMの契約数は12.2%。年々増えてはいるけど、まだまだ一般的とは言えないわね。総務省の担当者も「3大キャリアと同じくらいの選択肢として一般の方に認知されてほしい」と話していたわ。
ひよ子 :携帯電話って一度契約してからただ更新し続けてきたけど、500以上も他に会社があるのに、1社に10年以上もこだわり続けているというのも不思議な話ですよね。