エア本屋の「いか文庫」。
いつも見ているあの色も思い出は人それぞれ。
店主(以下 店):もりもり、おつかれさまー。その本の表紙きれいだね。
バイトもりもり(以下 も):そうなんです! 最近買った万城目学さんのエッセイなんですが、「色」がテーマの章があることから、この表紙なんです。
店:「色」がテーマ?
も:はい。たとえば五月は木々の「緑」、六月はあじさいの「白」というふうに、世のなかの色を観察して一年を巡るエッセイです。人が着ている服の色や、思い出のなかの色も登場して、なんでその月にその色なんだろう?っていう突飛な色も出てきて、気になってどんどん読んでしまいました。
店:突飛な色?
も:八月は「黄」なんですが、ひまわりの黄色ではなくて、道ですれ違ったおばちゃんが着ていた服の派手な黄色で、そこから梶井基次郎の短編小説『檸檬』の「黄」を思い出した、という話になるんです。色から発想するものって、人それぞれ全然違っておもしろいもんだなあと思いました。
店:私も黄色が好きだけど、それは花のミモザからイメージしているから、小説には出てこないもんな。思い出した後にどんな話になるのかも、とても気になる。
も:ですよね。色といえばもう1冊読んだのですが、『京都と猫と、まだ見ぬ色と』という漫画で、日本の伝統色をテーマに京都の人々を描いたお話です。聞いたことのない色が出てきたり、込められた意味も知れて、色というものにすごく興味がわきます。
店:あ、私も読んだよ。幻想的な物語と日本特有の色が相まって、不思議な気持ちになった。もりもりはどのお話がよかった?
も:私は「甕覗(かめのぞき)」という名の青色です。雨のなか落ち込んでいる少年の気持ちを表す雨の青、涙の青から始まり、徐々に青色が変化していき、最後はカラッと晴れた青空が見えて軽くなった少年の気持ちの変化を表す…というお話。オールカラーコミックだから、その微妙な色の違いや美しさが視覚で感じられるのもよかったです。
店:あぁ、それもよかったねぇ。普段私たちが使っている色って、本当はもっと細かく分かれていて、そのときの状況や気持ちによってほんの少しずつ変化している。しかもその細かい色を表す名前がちゃんとそれぞれついている。昔の人はすごいね。
も:本当に。私も、普段何気なく見ている景色とか生活のなかの色を、もっと敏感に丁寧に感じていきたいなぁって思いました。
店:いま調べたんだけど、日本には“1100”もの伝統色があるらしいよ。
も:なんと!もっといろんな色のこと、知りたいですね!
店:じゃあまずは、色辞典を仕入れて勉強しよう!
も:はい!