明るく光が差し込む店内

その5 「FESTINA LENTE」ヴィンテージ雑貨にときめく! レトロビルの隠れ家ショップ[神保町雑貨屋帖]


 本の町というイメージが強い神保町。しかし、実は個性豊かな雑貨屋の集まるエリアでもあります。思わずクスっと噴き出しちゃう遊び心のある雑貨、異国情緒漂うアクセサリー、歴史を感じさせるアンティーク…。そんな神保町の個性的な雑貨屋5店を紹介します。

 

 神保町エリアの個性的な雑貨店を特集する「神保町雑貨屋帖」最終回は、アンティーク雑貨やヴィンテージ風のハンドメイド雑貨を取りそろえる「FESTINA LENTE(フェスティーナ・レンテ)」。築40年以上という、貫禄のある薄暗いテナントビルの2階にある隠れ家的なお店です。

 「フェスティーナ・レンテ」は、ラテン語で「ゆっくり急げ」という意味の格言。カタツムリの殻を背負ったウサギを描いたお店の看板が、ビルの入口で出迎えてくれます。ワクワクしながら階段を上ると、しっかりと閉じられた扉があります。ちょっと勇気を出して開けてみましょう。狭く薄暗い階段からは一転、広い窓から差し込む陽光が店の白い壁や天井を照らす明るい空間が広がり、まるで別世界に迷い込んだかのような錯覚にとらわれます。アンティーク風の家具や什器に商品がぽつぽつとディスプレイされた、ヨーロッパの雑貨屋さんのようなおしゃれな雰囲気も、乙女心をくすぐります。

 お店を楽しむコツは、くまなく探検することです。実は、一見お店の飾りかと思えるさまざまなディスプレイにも、よく見ると値札が付いています。たとえば、古い羊皮紙や紙箱、雑貨の下に敷かれたアンティークレースは、フランスの蚤の市やアメリカのアンティークショップなどから仕入れた貴重な一点ものです。100年前のペン先入れケースなどもあり、紙に刻まれた長い年月の跡から、〝もの〟に込められた思いやストーリーが伝わってくるようです。白いキャビネットに並べられた、立方体や八面体のガラスのフラワーベースは、京都を拠点に活動しているステンドグラス作家、西冨なつきさんの作品です。中にドライフラワーが飾られており、窓から差し込む光を反射してさまざまな表情を見せます。

1908_festinalente02.jpg西冨なつきさんのフラワーベース

 

 「OLD COACH(オールドコーチ)」のバッグは入荷すればたちまち売れてしまう看板商品の一つです。1980年代のコーチは、柔らかく弾力性のある品質の良いグラブタン・レザー(牛革)が使われており、丈夫で飽きの来ないデザインから根強い人気を誇っています。アンティーク雑貨にまじって、エイジング加工されたハンドメイド雑貨や、古着に合わせやすいアクセサリーなどもあります。繊細な金色のアクセサリーは、アクセサリー作家のjoiaさんの作品。金かと思いきや、刺繍糸を何重にも編み込んで作られています。手に取ってみると、軽い手触りと糸の重なりの美しさに、ため息が漏れてしまいます。

1908_festinalente04.jpgオールドコーチのバッグやヴィンテージのアクセサリーなど

 

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エイジング加工されたハンドメイド作品

 

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アンティークの羊皮紙などと一緒に飾られた、joiaさんのアクセサリー

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