東京メトロ沿線で見つけたことを、編集部が気ままに紹介する「気ままにメトロポリターナ」。映画好きの関根が、ミニシアターの魅力をお届けする「東京ミニシアターダイアリー」第6回は、2020年に開館100周年を迎えた「新宿武蔵野館」をご紹介。リニューアルを経てパワーアップしたこちらには、お客さんを楽しませてくれる工夫が盛りだくさんでした。
新宿/新宿武蔵野館
映画館へ行った際には、上映までの時間に作品のチラシを読んだり、予告編を見たりして過ごす人も多いのではないでしょうか。私の場合、「新宿武蔵野館」で映画を見るときには、いつも以上に時間に余裕をもって行き、館内で過ごす時間を楽しむことにしています。なぜならこのシアターは、早めに足を運びたくなってしまう、上映前から映画の世界に浸れる工夫がすごいのです! それではさっそく、私が感じる「新宿武蔵野館」のさまざまな魅力を紹介していきます。

私にとっての「新宿武蔵野館」の魅力ひとつ目は、この館にしかないオリジナルのディスプレイ。取材時、メインとなる大きなディスプレイは映画『ドリームランド』仕様になっていました。美しき指名手配犯と、彼女に心奪われた17歳の少年による逃避行を描いたこの作品の、華やかでどこか危なげな雰囲気が伝わってきます。また、「ヒーリング・アクアリウム」と呼ばれる、パネルの中央にある水槽には、2匹の錦鯉が。その姿はまるで、運命に翻弄される主人公2人のように感じられます。

ふたつ目は、上映作品に関連した資料がまとめられた掲示板。私が映画を見る前に、とくに時間をかけてチェックしているコーナーです。出演者や監督のインタビュー記事、評論家による解説など、読み応えのある記事が数多く掲示されています。作品のおもしろさが伝わってくるだけでなく、その舞台となる時代の背景や社会情勢まで知ることができるのです。掲示板の情報をじっくりと読み、作品の背景を知ってから映画を見るのが、私の好きな楽しみ方です。

そして、この映画館に行くたびに必ずチェックするのが、物販スペース。上映作品のパンフレットや関連書籍はもちろんのこと、作品とコラボレーションしたオリジナルグッズが並ぶこともあるのです。上映予定の『戦場のメリークリスマス 4K修復版』と『愛のコリーダ 修復版』からは、劇中の印象的なシーンがプリントされた、Tシャツやマスクなどのオリジナルグッズが販売されるということです。映画を見てその作品の虜になったら、グッズにもつい手が伸びてしまいますね。

現在は、残念ながら緊急事態宣言の発令にともない、「新宿武蔵野館」は臨時休館となっています。でも営業を再開した暁には、充実のディスプレイやグッズ、なによりすばらしい映画上映がファンを迎えてくれるはず。このような状況でも、世界のどこかで新しい映画が生まれ、たくさんの映画館がそれを届けようと全力を尽くしてくれています。安心して映画館に足を運べるようになったら、ぜひ「新宿武蔵野館」ならではの映画鑑賞を満喫してください。私もその日を心待ちにして、いまはおうち映画を存分に楽しみます!
SHINJUKU MUSASHINOKAN
新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F
[TEL]03-3354-5670
[休]無休
※営業再開日については、公式サイトでご確認ください
http://shinjuku.musashino-k.jp