メトロポリターナ編集部が、東京メトロ沿線で見つけたいろいろなことを気ままにご紹介。映画好きの関根が、ミニシアターの魅力をお届けする「東京ミニシアターダイアリー」。第4回は、メトロ沿線から少し足を伸ばして、下北沢で唯一のミニシアターをご紹介。若手の監督を応援するこちらは、あの監督にとってもスタート地点でした。
下北沢/下北沢トリウッド
「下北沢トリウッド」は、新しい制作者が羽ばたくきっかけとなる場所をつくりたいという思いから、1999年に開館したといいます。若手監督が撮る映画といえば、短編が主流だったその当時。制作者と観客をつなげる映画館として、こちらでは短編作品を専門に上映してきました。その後、長編作品を撮る若手監督が増えてきたことから、いまでは長さを問わずさまざまな作品を上映していますが、変わらないのは「まだ見ぬ新しい作品や制作者を応援するための上映」であること。そんな思いを大切に運営を続けている、劇場スタッフの山本達也さんにお話を聞きました。

全9話の連続ドラマや10時間以上に及ぶドキュメンタリー、SFの短編アニメーションなど、ほかの劇場ではなかなかお目にかかれない作品を数多く上映しているこちら。作品を選ぶ際には、下北沢という場所柄を深く意識していると山本さんはいいます。「古い演劇場から若い方向けの古着屋まで、多様な文化が入り混じるこの街にふさわしい上映となるように、“下北沢で上映するとおもしろいもの”を選んでいます」。ここで長年愛されてきたのは、そうした工夫を続けてきたことも、理由のひとつなのかもしれません。

じつは『言の葉の庭』や『君の名は。』でおなじみの新海誠監督も、「下北沢トリウッド」で初監督作品を上映したひとり。商業デビュー作品『ほしのこえ』の上映最終日には、開館前から長蛇の列ができ、1人でも多くの方に見てもらうために終電間際まで上映回を増やしたといいます。なんと、『ほしのこえ』が劇場で見られるのは東京でここだけだそう! 新海誠監督が手がけた新作を上映する際は、特集上映に組み込まれることもあるそうなので、スケジュールは要チェックです!

めずらしい作品に出合えることがミニシアターの醍醐味ですが、下北沢らしい作品が見られるのは「下北沢トリウッド」ならでは。「ちょっと変わった映画館ではありますが(笑)、今後もこの場所ならではのおもしろい作品を上映していきます。変わりゆく下北沢の街を楽しみつつ、ふらっと立ち寄っていただけたらうれしいです」と、山本さんは話してくれました。いつもと違う映画体験がしたくなったら、「下北沢トリウッド」に足を運んでみてください。
SHIMOKITAZAWA TOLLYWOOD
世田谷区代沢5-32-5 2F
[TEL]03-3414-0433
[休]火
https://tollywood.jp
※営業時間や上映作品などは、公式サイトでご確認ください