手前/《赤い直角》2017-2018年 Courtesy: Lisson Gallery 奥左/《赤に赤》1959年 所蔵:エル・ムセオ・デル・バリオ (ニューヨーク)トニー・ベチャラ寄贈 奥右/《ディプティク》1978年 所蔵:エル・ムセオ・デル・バリオ (ニューヨーク)トニー・ベチャラ寄贈 直線・直角・鋭角を追求するカルメン・ヘレラの作品。70年間、一貫して同じコンセプトで作品を制作してきたことがわかる。

カルメン・ヘレラ《森美術館「アナザーエナジー展」へ》[ヒルズの休日]


 世界各地で創作を続ける16名の女性アーティスト。その全員が、なんとキャリア50年を超える70歳以上!彼女たちのエネルギーが詰まった展覧会が開催中だ。


Carmen Herrera

私は長い間待っていました。
「バスを待っていればやがて来る」という言葉がありますが、
私はバスを1世紀近くも待ってようやく来たのです。
―― カルメン・ヘレラ

 ミニマルなモチーフに鮮やかな色彩。グラフィカルなこの作品を制作したのは、本展最高齢の作家である1915年生まれのカルメン・へレラ。1950年代初頭から、限られた色彩で幾何学的な図形を描く抽象絵画を制作し続けてきた彼女は、1960年代からは抽象彫刻も始め、70年間に及ぶアーティスト活動のなかで、一貫して抽象表現を追い求めてきた。彼女の評価が高まったのは、自身が90歳を過ぎた近年になってからだが、いまや、エルズワース・ケリーやフランク・ステラと並び、米国におけるミニマリズム絵画の先駆者の一人と考えられるようになった。出品作のなかには、禅の思想に関心があったことがうかがえる作品もあり、精緻な線と形によって表現される作品には、長いキャリアによって研ぎ澄まされた厳格さとしなやかさが共存している。現在も、絵画や大型のパブリックアートを発表するなど精力的に創作を続けている驚異の106歳だ。

 

Profile

 ハバナで建築を学び、1939年に結婚を機にニューヨークへ。アート・ステューデント・リーグで絵画を学んだ。84年に初の回顧展を開催したが、作品が評価されはじめたのは90歳を過ぎた2005年頃。2016年ニューヨークのホイットニー美術館で大規模な回顧展を開催。2015年には、ドキュメンタリー映画『THE !00 YEARS SHOW(邦題:100歳の現役アーティスト)』が製作された。


Information

アナザーエナジー展:
挑戦しつづける力―世界の女性アーティスト16人

会期:9月26日(日)まで開催中
開館時間:10:00〜20:00(最終入館19:30)
※火曜日のみ17:00まで(最終入館16:30)
※当面時間を短縮して営業。最新情報はWebサイトにてご確認ください
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
出展アーティスト:エテル・アドナン、フィリダ・バーロウ、アンナ・ボギギアン、ミリアム・カーン、リリ・デュジュリー、アンナ・ベラ・ガイゲル、ベアトリス・ゴンザレス、カルメン・ヘレラ、
キム・スンギ、スザンヌ・レイシー、三島喜美代、宮本和子、センガ・ネングディ、ヌヌンWS、アルピタ・シン、ロビン・ホワイト

便利で安心な森美術館のオンラインチケットシステム

 森美術館に行くなら、この春から新たに導入されたチケットシステムを活用しよう。専用オンラインサイトや「ヒルズアプリ」からチケットを事前購入すれば、QRコード認証でスムーズにダイレクト・イン入館ができる。また、美術館入り口には無人券売機も設置。キャッシュレスにも対応し、非対面、非接触の安心して鑑賞できる環境になっている。

専用オンラインサイト
https://visit.mam-tcv-macg-hills.com

ヒルズアプリ
https://preview.page.link/hillsapp.page.link/app_installer
※スマートフォンでアクセスしてください。


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