《小説好き書店員おすすめの「旅物語」》文喫 六本木[旅する小説]

カルチャー,

 日頃から、多くの小説に触れているのが、書店員。ここでは、小説を愛する書店員4名による旅気分を味わえる一冊を紹介してもらう。


文喫 六本木
ブックディレクター 有地和毅さん(日本出版販売株式会社)が選ぶ
『シブヤで目覚めて』

著:アンナ・ツィマ 訳:阿部賢一、須藤輝彦 河出書房新社 2970円

いつもの街も違って見える、旅の魔法にかけられる物語。

 「旅をするとすべてが目新しく見える。なんでもない景色をずっと眺めていられる。それは旅の魔法。旅に出られないときは、いまいる街を旅人の目で見てみるといい。そのためのヒントがこの小説には詰まっています。ところで、あなたはシブヤの街の匂いを思い出せますか? この物語の主人公ならこう言うでしょう。『香水、海塩、醤油の匂いと空気が混ざり合っている』。誰かの目で見た景色が、あなたを非日常へと誘い出してくれます」

《Story》
 チェコで日本文学を学ぶヤナは大正時代の日本人作家・川下清丸の研究に夢中。一方、ヤナの「分身」の幽霊は、渋谷に閉じ込められて出られない。文学作品の翻訳と、幽霊の彷徨が絡み合いながら、物語はポップな迷路のように進んでいく。


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BUNKITSU ROPPONGI

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《Comment》
 本と出合うための、入場料のある本屋「文喫 六本木」。ゆったりした空間でじっくりと本を吟味する至福の時間。一日の最後には意中の一冊が見つかるはず。読む人も、そうでない人も、きっと本のことが好きになる。


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