あらゆる可能性を模索して生まれた「昆虫スイーツ」[ウェルネススイーツ]

グルメ

スイーツを通じて“美味しい”と思える機会を

 肉や魚に代わる持続可能なタンパク源として「昆虫」という選択肢がある。注目を集めている「昆虫食」を提案しているのが、日本橋馬喰町にあるレストラン「アントシカダ」だ。こちらでは、前菜からメイン、デザートにいたるまで、昆虫を食材につかったコース料理が味わえる。

 幼いころからさまざまな昆虫をつかまえて食べていたというアントシカダ代表の篠原祐太さんは、飲食店や料理家とのコラボレーションを経て、昨年「アントシカダ」をオープンした。昆虫が“ゲテモノ”と呼ばれたり、汚いものとして扱われていることを不思議に思っていたという篠原さんは、どうしたらそのネガティブなイメージを払拭できるかと考え、「食」にたどり着く。「美味しいという感動はなによりもインパクトが残ること。実際に味わって、美味しい、面白いと感じてほしい」と語る。

 コースのなかでもとくに力を入れているデザートは、きっと昆虫のイメージを変えるはず。ある日のデザートは、バラを発酵させてつくったグラニテ(氷菓)と自家製ヨーグルトに蚕の糞のシロップを添えたもの。グラニュー糖と合わさると黒糖のような深い味わいとなる蚕の糞。華やかなバラのグラニテとクリーミーなヨーグルトとの相性は、抜群といっても過言ではない。

 「昆虫は、そのままのかたちで食べるだけではなく、ほかの食材と同じように、出汁をとったり、発酵させたりすることで、また違った味わいが楽しめます。お店での食体験を通じて、少しでも面白いと感じていただけたら」

 篠原さんにとって、昆虫はあくまで食材のひとつ。まだ発掘されていない可能性を、これからも発信していくという。「アントシカダ」のコースメニューは、仕入れ状況によって随時変わっていく。いつの日か、昆虫食を通じて旬を感じる日がくるかもしれない。

 

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ANTCICADA 代表 篠原祐太

 

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自家製のグラニテとヨーグルトに、蚕の糞のシロップとローストいちじくを添えたデザート。上品な味わいに舌鼓


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店内には、昆虫や野草、爬虫類をつかった発酵調味料やアルコールが並ぶ


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料理に合わせてペアリングしている、蚕の糞のリキュール。今後は、オンラインでも昆虫を使用した加工品やスイーツの展開を予定。


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ANTCICADA

中央区日本橋馬喰町2-4-6 ログズビル 1F
Tel. 03-6881-0412
[営]金・土・日
(※金・土は、完全予約制のコース料理。日は、予約不要のコオロギラーメンの営業)
[休]月~木


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