青野文昭/飯山由貴《地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング》


新しい時代をいかに生きるか?
ウェルビーイングについて16作家の作品から考える

 地球規模のパンデミックに見舞われているいま、世界はどうなるのか、そのなかでどう生きるのかを、改めて考えるきっかけになる展覧会が、六本木ヒルズの森美術館で開催中。16名の作家の作品に触れれば、自ずと自分への問いかけが、始まるはず。


Fumiaki Aono

何世代もの記憶を宿し復元された橋と神社
仙台に生まれ育ち、現在も同地で活動中の青野文昭は、拾ったもの、壊れたもの、必要とされなくなったものを「なおす」という行為を通じて「破壊と再生」「修復」をテーマとした作品づくりを続けている。こうして集めたモノを用いて、東日本大震災で被災した当日に青野が渡った「八木山橋」と、その八木山にかつて存在した「越路山神社」を復元したのが本作だ。鑑賞者は、実際に橋を渡り、彫刻やドローイングがほどこされた古いたんすなどで形成され、人形や何かのかけらがそこかしこに祀られた神社の内部に入り、空間が宿す記憶を体感できる。

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《八木山橋》2019年、《僕の町にあったシンデン──八木山越路山神社の復元から2000~2019》2019年


Yuki Iiyama

人間と社会が抱える闇にやさしい光を当てる
個人と社会との関係性などをテーマに、おもに映像による作品づくりに取り組む飯山由貴。本展では、ドメスティック・バイオレンス(DV)についてのインスタレーションを発表している。モニターでは、DV被害者と支援者、加害者へのインタビューを中心とした《影のかたち》と、DV当事者でもある飯山が、元パートナーの男性の身体を思わせる等身大のパンを焼いて食べる様子を記録した《家父長制を食べる》が上映される。テーブルに置かれた用紙に鑑賞者がコメントを記入し投函すると、その一部を展示期間中に飯山が壁に掲示していくという試みも進行中だ。

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《影のかたち:親密なパートナーシップ間で起こる力と支配について》2022年
Courtesy: ウエルカム財団(ロンドン)、WAITINGROOM(東京)


《INFORMATION》

地球がまわる音を聴く:
パンデミック以降のウェルビーイング

11月6日(日)まで開催中!
開館時間:10:00〜22:00(火曜日のみ17:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで。会期中無休
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)


《ARTIST》

エレン・アルトフェスト/青野文昭/モンティエン・ブンマー/ロベール・クートラス/堀尾昭子/堀尾貞治/飯山由貴/金崎将司/金沢寿美/小泉明郎/ヴォルフガング・ライプ/ゾーイ・レナード /内藤正敏/オノ・ヨーコ/ツァイ・チャウエイ(蔡佳葳)/ギド・ファン・デア・ウェルヴェ


《TICKET》

チケットは事前予約制
購入は専用オンラインサイトか「ヒルズアプリ」へ

[専用オンラインサイト]
https://visit.mam-tcv-macg-hills.com
[ヒルズアプリ]
https://hillsapp.page.link/app_installer


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