心身のコンディションを整えられるということは、自分らしく過ごせる時間が増えるということ。「生活習慣の見直しなど、できることはきっとありますよ!」と笑顔で話す高尾先生に、悩み別の対処法をアドバイスしてもらいました。
見過ごさないこと、
我慢しないことが大切!
「生理痛が重い」
●症状/原因
生理痛は、子宮の内膜から産生される子宮を収縮させる「プロスタグランジン」という物質によって起こるものです。冷えやストレスで痛みがひどくなることも。エストロゲンの分泌量は30代後半から減少し、子宮内膜も薄くなるので、それに伴って生理痛も軽くなっていくのが一般的ですが、生理痛が寝込むほど重い、鎮痛剤が手放せない、といった人は婦人科受診を。一方で、子宮内膜症や子宮筋腫の罹患率は年齢とともに上がっていきます。
●予防・対処法
まず、生理痛を軽視しないことが重要。鎮痛剤は痛みがひどくなる前に飲むのが効果的で、これによりプロスタグランジンの産生を抑えることができます。低用量ピルにも生理痛を軽くする作用があるので、医師と相談のうえ、検討しても。体を冷やさない、ストレスを溜めないなど基本の心がけも大切。例えば、生理中は予定をひとつ減らすといったような、自分を労わるルールを作ってみては。生理痛が重いと子宮内膜症のリスクが高まるというデータもあるので早めの対策を。
「PMSが辛い」
●症状/原因
生理前に現れる不調には、排卵後に急増するプロゲステロンが影響していることが分かっていますが、原因やメカニズムは解明されていません。症状には個人差が大きく、イライラしたり、不安感や緊張感が強くなったりと、メンタル面に現れる人もいれば、頭痛や肩こり、吹き出物、浮腫、便秘など体調面に変化が出る人、その両方に悩む人もいます。几帳面な人や完璧主義な人に症状が出やすいというデータも。いずれの症状も生理が始まるとスーッと楽になっていきます。
●予防・対処法
PMSは、排卵やホルモン分泌といった正常な体の作用によって起こる不調です。体が機能している証しでもあるので、ネガティブになりすぎず、まずは自分の生理周期を知ることから始めてみましょう。今が生理前だと分かれば、心身の変化に戸惑わずにすみます。そのうえで大切なのは睡眠と運動。カフェインなど刺激物を控えることも効果があります。不調について素直に話せる人が周囲にいるとより心強いですね。低用量ピルや漢方も選択肢になるので、医師と相談してみても。
「経血の量が多い」
●症状/原因
生理中の経血量は人と比べることができないので、自分が多いのか少ないのか判断に迷うかもしれませんが、生理中に椅子から立ち上がった際、座面を気にするといった行動は、経血量が多いと気づくきっかけになります。経血量は40代で減る人もいますが、それは順調に歳を重ねている証し。また、更年期で増えたり、減ったりすることもあります。最近、増えたという場合は子宮筋腫などの可能性も念頭に受診をおすすめします。
●予防・対処法
実は経血量が多くても、生理とはこういうものだと思っている人が多いかもしれません。もうすぐ閉経だから、と我慢している人もいます。でも、生理は毎月のこと。QOLにも直結します。血の量が減るだけで、随分と楽になるものですよ。治療法としては低用量ピルや保険適用である黄体ホルモンを放出する子宮内システムなどがあります。月経量が多くて困っている方はぜひ一度、婦人科に相談してみてください。
「イライラする、クヨクヨする」
●症状/原因
女性ホルモンが関わるメンタル面の不調にはおもに、生理前に現れるPMSと、更年期に現れる更年期の不調などの可能性があります。どちらも女性ホルモン値の変動と深く関係していて、例えばエストロゲンは脳内のセロトニン産生に関わるため、エストロゲンの減少がメンタルの不安定さを引き起こし、その結果、些細なことで怒りっぽくなったり、落ち込みやすくなったりします。もし、今まで好きだったことができなくなる、理由もなく泣けてくる、といったほどの状態ならば、それは鬱のサインである可能性も。
●予防・対処法
私たちの心は簡単に揺らぐもの。ホルモンだけが原因ではなく、仕事のストレスやSNSの情報によってアップダウンしてしまう、それは当たり前のことです。揺らいでいるなと思ったら、自分の心を客観的に眺めてみてください。それだけで、平常心が戻ってくることもあります。生活習慣において重要なのは睡眠時間。睡眠の質については一旦おいておき、とにかく7.5時間は確保する!それだけで、心に余裕が生まれます。血流を促す軽い運動や深い呼吸もおすすめです。
「睡眠の満足度が低い」
●症状/原因
不眠症とは、十分に寝る時間があるにもかかわらず、睡眠に課題がある状態のこと。寝る時間が足りていない睡眠不足とは別ものです。寝つきが悪い入眠困難、途中で目が覚める中途覚醒、早朝に目が覚める早朝覚醒、寝ても休養感がない熟眠障害の4タイプがあり、不眠症の罹患率は女性が男性の約1.4倍というデータも。エストロゲンは副交感神経を優位にするため、更年期のエストロゲンの減少が睡眠の満足度に影響を及ぼし、中途覚醒や早朝覚醒を引き起こすと考えられています。
●予防・対処法
睡眠の満足度の低下は、40代以降の多くの女性が感じていること。みんなもそうだと思うと少し気が楽になるのではないでしょうか。そのうえで見直していただきたいのが就寝前2時間の過ごし方。パソコンやスマホを見ないようにするだけで入眠しやすくなるはずです。寝つきには体温が下がることも重要。一日にメリハリをつけ、活動的な日中を過ごすと、自然と夜に体温が下がります。それを擬似的に作るのが入浴です。途中で覚醒しても絶対にスマホは見ない!といった工夫も。
「太った」
●症状/原因
太る原因は年代によってさまざま。20代ならば、生理周期の前後で2kg程度の体重差があっても普通です。増加分は水分量で、生理が始まり、むくみが引くと、体重もストンと落ちるものです。注意したいのは40代半ばからの体重増加。エストロゲンには脂質代謝を促したり、筋肉量を維持したりする働きがあるので、更年期にエストロゲンが減少すると、痩せづらくなります。太ると膝が痛くなり、活動的でなくなることにより、さらに太る、という悪循環に陥ることも。
●予防・対処法
一日一回、体重を測る習慣をつけましょう!今の体重を直視したくないなら、体重計にピョン!と乗って、すぐに飛び降りるのでもいいです(笑)。とにかく、現実を直視することから始めてみてください。「更年期太り」という言葉も聞きますが、更年期になったら誰もが太るわけではないですよね? ホルモン変化はもちろんありますが、食べ過ぎや運動不足による影響のほうがよっぽど大きい。睡眠不足だと食欲を増進させるグレリンというホルモンが分泌されるので、睡眠もたっぷりと!
「肩こり、腰痛がひどい」
●症状/原因
女性の体にさまざまな恩恵をもたらしているエストロゲンには、筋肉や骨、関節を守る役割もあります。更年期になってエストロゲンが減少すると、筋肉量は維持されにくくなります。また、関節の動きを滑らかにする「滑液」に多く含まれるコラーゲンも産生されにくくなり、同時に骨密度が下がって骨ももろくなっていきます。こうした変化が、肩こりや腰痛、関節痛の要因のひとつ。肩や腰だけでなく、手指に強いこわばりを感じる人もいます。
●予防・対処法
例えば肩甲骨周りには17の筋肉がついています。肩甲骨を回す動作は、17もの筋肉を一度に動かせるお得な方法なんですね。こうした、運動習慣にも満たないような、少しの体の動きでも不調を和らげることはできる。体を動かせば、血流が生まれ、動かした部分に血が集まるので、その部分が温まって、より症状が改善します。更年期のホルモン変化による影響はある程度は仕方がないことなので、ささやかでも体を動かすことを始めてみるとよいのではないでしょうか。