人生で出会った唯一のイスラエル人は、西麻布のカフェで働いていた店員さんです。いまだにそのことを覚えているほど、私にとってイスラエルは縁遠い国でした。それがここ2〜3年、なんとなく耳にして「いいな」と思う音楽が、あれもこれもイスラエルのアーティスト!ということが起こっております。
そもそものきっかけは、ガーデン・シティ・ムーヴメントを知ったことでした。彼らの出身地テルアビブといえば、ブーム・パムのサーフ&ワールドミュージックのイメージでしたが、このトリオが奏でるのは非常に洗練されたアートポップ! 彼らは4月に日本で初めてのライブを開催します。ときにオリエンタルなニュアンスを感じさせるサウンドは、春の夜に生で聴きたいですね。
ジャズの本場NYで活躍している先人たちが多いこともあり、豊かな土壌が築かれているイスラエルのジャズ。セフィ・ジスリングは、ジャズのみならずファンクバンドなど多数のプロジェクトで活躍するトランペッターです。彼のソロアルバムは都会的でありながら、「AvocadoDance」というアフロファンクも収録されており、魅惑的な一枚。
そして鮮烈な印象を受けたのがノガ・エレズ。鋭い社会批判を突きつけながらも、ドープなビートで聴く者を踊らせ現実逃避させます。まるで、中東問題を抱えながらも目覚ましい発展を遂げている、母国の二面性を体現するかのようなアーティストです。
イスラエルの人口って、東京都よりも少ないんですって。イスラエルの音楽シーンの多彩さに驚きです!
GARDEN CITY MOVEMENT『APOLLONIA』
テルアビブを拠点に活動するトリオによるファースト・フルアルバム。ハウス〜エレクトロのアーバンなサウンドを展開。初来日公演は4月8日(月)渋谷のWWWにて
SEFI ZISLING『Beyond The Things I Know』
ジャズ、ファンクのトランペット奏者。Raw Tapes Recordsの創始者でバターリング・トリオのリジョイサーがプロデュースを手がけた初のソロアルバム
NOGA EREZ『Off The Radar 』
M.I.A.を彷彿とさせるイスラエル気鋭の女性シンガーソングライター、プロデューサー。不穏でダークなトラックに、多彩なボーカル・ワークが映えるデビューアルバム