selection&text: 稲葉智美

地球を旅する音楽《音楽日々帖》


 4月22日は地球のことを考えて行動する日、アースデイですね。ということで今月は、「地球」を思い浮かべながら音楽を選んでみました。

 まずはコナー・ヤングブラッドの『Cheyenne』。浮遊感のある音で、彼自身が辿った旅の記憶を描き出します。CDに付属のブックレットには、自身が旅先で撮影したという写真の数々。自然豊かな風景が多いことから想像すると、彼はバックパックにトレッキングシューズを詰めて出かけるタイプの旅人なのかも。絶景に身を委ねたときの幸福感が味わえる1枚です。

 ジャケットに満開の八重桜が咲きほこる“ザ・春アルバム”が届きました! エル・ブオが繰り出すのは中南米の伝統音楽を取り入れたエレクトロ・フォルクローレ。郷愁を誘うメロディを聴いていると、なんだかアンデス山脈でお花見をしているような気分になってきます。

 この広い地球には、まだまだ知らない音楽がたくさんあるんだなぁ。デヴィッド・ダーリングの『MudaninKata』を聴いて、しみじみ思いました。人の声に最も近い楽器といわれるチェロの音色と調和するのは、台湾の少数民族・ブヌン族の伝統歌唱です。老若男女がのらりくらりと合唱するのは、生活の中に溶け込んだ労働や祈りのための歌。それは一見、最新音楽シーンの対極にあるように思えますが、もとを辿れば音楽の原点だったりして、無性に懐かしい気持ちになるのです。フィールド・レコーディングなので鳥や虫の声もハーモニーに加わり…極上の癒やし、ここにありです。
 

CONNER YOUNGBLOOD『Cheyenne』

 ボン・イヴェール、ライ、スフィアン・スティーヴンスとも共鳴するサウンドが特徴的な、アメリカのシンガーソングライターによるデビューアルバム。4月に初来日を果たす。metro1904_music_inner01.jpgBEAT RECORDS 2018
 

EL BÚHO『CAMINO DE FLORES 』

 イギリス出身のプロデューサー、ロビン・パーキンスによるソロプロジェクト。ラテンアメリカの伝統音楽や自然音を織り交ぜたエレクトロサウンドで聴く者を異世界へ導く。metro1904_music_inner02.jpgcalentito 2019

 

DAVID DARLING & THE WULU BUNUN『Mudanin Kata』

  アメリカ人チェリスト・音楽家と台湾の少数民族・ブヌン族のコラボレーションアルバム。混声8部の独特のハーモニーを持つ伝統歌唱とチェロの演奏を、台湾の山奥で野外録音導く。metro1904_music_inner03.jpgNATURE BLISS 2010






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