selection&text: 稲葉智美

花とラブソング《音楽日々帖》


 買ってきたばかりの花瓶に花を飾り、彼女が奏でるラブソングを、暖炉の前でいつまでも聴いている。恋人とのささやかな日常を切り取ったクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングのファーストアルバム『DéjàVu』に収録の「Our House」は、冬に聴くとじんわり幸せな気持ちにさせられます。ピアノとハープシコードの伴奏が素朴なこのラブソングは、実を言うと、グラハム・ナッシュが当時同棲していたジョニ・ミッチェルとの思い出をつづった曲。咋年11月、75歳になったジョニ・ミッチェルを祝うコンサートが開催されたのですが、なんとグラハム・ナッシュがステージに登場し、「OurHouse」を弾き語りしたのです!

 半世紀前の恋人の誕生日を祝うなんて、歳を重ねたからこそできるロマンチックなサプライズですね。

 「Our House」同様、花にまつわる曲で思い出すのが、トラヴィスの「Flowers In The indow」。こちらは家の窓辺に咲く花が「愛」のメタファーとして登場します。2人が種をまいて花が育つのを見守っているこの曲は、どこかウェディングソングみたいですね。そういえば、ウェディングソングのクラシック「Wedding Bell Blues」が収められたローラ・ニーロの『THE FIRSTSONGS』も、一輪の真っ赤なバラがアルバムジャケットに描かれていましたっけ。花というのは、日常でも音楽の中でも、不動の愛のシンボルなのですね。

 ラブソングに登場する家とはほど遠く、花瓶をしまい込んだままの我が家。たまには花を飾ろうと思います。
 

CROSBY, STILLS, NASH & YOUNG『Déjà Vu』

 フォークロック界のミュージシャン4人による、西海岸を代表するロックバンド。1960年代末から活躍し、本作はウッドストック出演の翌年に発表されたファーストアルバムmetro1902_ongaku_inner01.jpgワーナーミュージック・ジャパン 1970
 

TRAVIS『THE INVISIBLE BAND』

 スコットランド・グラスゴー出身のロックバンド。前作『The Man Who』から2作連続でヒットを記録、ブリットポップ後のUKを代表するバンドとなる。魅力は美メロと人のよさmetro1902_ongaku_inner02.jpgHostess 2001


LAURA NYRO『THE FIRST SONGS 』

 NYブロンクス出身のシンガーソングライター。バラの絵をジャケットに採用したCBS盤のレコードの初回プレスには、粋なことにバラの香りがつけられていたそう!metro1902_ongaku_inner03.jpgソニー・ミュージック 1973






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