聴くだけで海外のストリートを歩いている気分!3つの都市の音楽集団=コレクティブをご紹介します。
イーストロンドンからは、全容不明の音楽集団ソー。『Nine』は初期のケミカルブラザーズが頭をよぎる極太のブレイクビーツやヴィンテージソウルなど、壊れたスピーカーが鳴らすようなサウンドが鮮烈。甘美な酩酊のなかで後悔する「Alcohol」や、あの界隈の奴らは~という偏見についての「9」は、刺激的なカルチャーが注目される一方、犯罪や貧困が根深いこの街のリアルを浮き彫りにするかのようです。さらに99日後にストリーミングから消えるという公開方法も、まるで描いては消されるグラフィティ。聴けるのは10月初旬まで!
NYからは、不定型編成のジャズ集団オニキス・コレクティヴ。『Lower East Suite』シリーズは、街角やレコード店、服屋、ギャラリーなどローワーイーストのあちこちで録音。車のクラクションやサイレンも作品に溶け込み、NYという都市のポートレート、あるいはコラージュのような三部作です。
最後は、リバース・ブラスバンド。今年7月、すっかり活気が戻った彼らの本拠地ニューオーリンズでライブを見ました。スーザフォーンのシンコペーションをベースに、ホーンやシャウトで畳み掛け、観客は踊り続け、フロアを冷ますまじとバンドは吹き続け、そして夜は更け。『Rebirth of New Orleans』は、そんな生粋のライブバンドである彼らのエネルギーと、ニューオーリンズの熱気が伝わる1枚です。
世界のストリートの空気を音楽で感じてみてくださいね。
SAULT『Nine』
コアメンバーはいるものの、全容不明のイーストロンドンの音楽集団。タイトルの9と公開期間の99日を並べると、ロンドンの緊急通報電話番号「999」になるのも示唆的
ONYX COLLECTIVE『Lower East Suite Part Three』
メンバーが流動的なニューヨーク発エクスペリメンタル・ジャズ集団。50年代のジャズエイジと、いまのニューヨークが交錯するような、不穏でアヴァンギャルドな三部作の最終章
REBIRTH BRASS BAND『Rebirth Of New Orleans』
アメリカ南部ニューオーリンズで1983年から脈々と続くブラスバンドのグラミー賞受賞アルバム。ファンキーでグルーヴ感溢れるサウンドはさながら人力クラブミュージック