ひさしぶりに、紙のカレンダーを買いました。まっさらなページに1文字目を書き込む瞬間は、気持ちが引き締まるものですね。新年が始まる1月は、まっさらな心で聴きたい音楽を集めました。
デュヴァル・ティモシーがロージー・ローとコラボした『Son』は、アートの領域に足を踏み入れた合唱音楽です。コーラスとピアノがコラージュされて、とってもオーセンティックなのに斬新な耳心地。あえて環境音や反響が入るように録音していて、音の向こうに佇む余白がたまらなくいいのです。礼拝堂やコンサートホールの厳かさは、もしかして残響音なのでは?とも思ったり。20分間の衝撃をぜひ。
ピーター・タリスマンの『Lord Of The Harvest』は、ときおり感じさせるボン・イヴェールを思わせるフォークトロニカ調が奇妙で奥深い作品です。聴く人によっていろんなストーリーが描けそうで、私は画家ミレーの清貧な世界観、混迷の時代にフィットするメランコリックさや不穏さを感じ取ったのですが、どうでしょう?
マインド・メンテナンスは、その名のとおり、心が整う音楽です。初アルバムを出した昨年は、ビッグ・シーフのUSツアーに帯同していた彼ら。聴衆のコンディションを整えるという点で、最強のオープニングアクトだったのではないでしょうか。アフリカの伝統楽器である親指ピアノの「ンビラ」とモロッコの弦楽器「ゲンブリ」がジャズの即興演奏のように絡み合い、楽しくも瞑想的。プリミティブな音に触れると、心が洗われますね。
ROSIE LOWE & DUVAL TIMOTHY『Son』
サウスロンドンのシンガーソングライターと、UK /シエラレオネを行き来するマルチアーティストによるコラボ作。折り重なる声のレイヤーに耳を奪われる神秘的な1枚
PETER TALISMAN『Lord Of The Harvest』
トラックメイカーのスラガべッドとThe Physics House Bandでギタリストを務めるサミュエル・オーガンによる変名アーティストの、アヴァンギャルドなエレクトロアルバム
MIND MAINTENANCE『Mind Maintenance』
シカゴ音楽シーンに多大な影響を与えるベーシストのジョシュア・エイブラムス(ゲンブリ)と、ドラマーのチャド・テイラー(ンビラ)によるアフリカ音楽プロジェクト
2021 DRAG CITY