短夜をゆったりと《音楽日々帖》


 日没がどんどん遅くなる季節。短夜をゆったり楽しむための音楽を選びました。

 まずはパーセルズの『Day/Night』。ダフト・パンク直系の小気味よいディスコポップから表現を広げ、オーウェン・パレットのシネマティックなストリングスを採用。随所にセッションの有機的なうねりが感じられます。「SHADOW」や「Nightwalk」など、時の流れ1倍速の曲にどっぷり浸るもよし。「Famous」やオスカー・ワイルドの小説『ドリアン・グレイの肖像』から着想を得た「Lord Henry」で、栄華の闇に思いを馳せるもよし。クリエイティビティが開花した大作は聴きごたえありです。

 優河の『言葉のない夜に』は、音楽の奥行きと解像度に圧倒される1枚。夜明けを思わせる曲が多いだけでなく、夜の闇さえも美しく感じさせるこの作品は、制約のある日々を過ごしてきた人々にやさしく寄り添います。「夏の窓」から「loose」の夢見心地な流れは、夜風に吹かれながら聴きたくなりますね。

 さて、ついに音楽フェスが本格再始動!3年ぶりの参加を心待ちにしている方もいるのではないでしょうか。ひと足早くフェスが再開したこちらアメリカで、デイヴ・マシューズ・バンドを見ました。演奏技術を堪能したい人も、盛り上がりたい人も、寝そべって聴きたい人も楽しめるライブで、なるほど愛される理由がわかります。暮れゆく空のもと、老若男女ベビーカーを押した親子連れまでが芝生でゆったり楽しんでいる光景は、あまりにも美しくて。今年こそ、心置きなく楽しめるフェスシーズンとなりますように。

PARCELS『Day/Night』

 ベルリン拠点の5人組バンド。昼サイドと夜サイドが円のようにつながった2部構成のコンセプトアルバム。故郷オーストラリアの森林火災やパンデミックを経て深遠な作風に

metro231_metroradio_1.jpgVIRGIN MUSIC 2021

優河『言葉のない夜に』

 豊かなボーカルと、USインディーフォークからの影響を多分に感じさせるサウンドが溶け合う3rdアルバム。ドラマ『妻、小学生になる。』の主題歌「灯火」も収録

metro231_metroradio_2.jpgYuga 2022

DAVE MATTHEWS BAND『UNDER THE TABLE & DREAMING』

 バイオリンとサックスを加えたミクスチャーサウンドに定評のあるジャムバンドのデビュー作。日本では通好みのイメージだが、アメリカ国内ではヘッドライナー級の人気を誇る

metro231_metroradio_3.jpg
RCA 1994






この記事をシェアする

LATEST POSTS