先月号に続き、サステナブルなホテルを巡る旅第二弾!半世紀前に建てられたテレビ塔を改装したアートホテルで、過去、現在、未来へと循環する価値観について考えました。

小木:今月は「ザ・タワーホテル名古屋」からお届けします。ゲストはこのホテルの女将、豊田涼子さんです!じつはこのホテルのアメニティは、僕らがつくっている《エッフェオーガニック》。それがご縁で何度かお伺いさせていただいています。
豊田:小木さん、名古屋へようこそ!
小木:名前の通り、このホテルは名古屋テレビ塔を改装したホテルなんです。タワーができたのって半世紀くらい前ですよね?
豊田:1954年です。そのタワーを改装して、15室のホテルとして昨年オープンしました。だからほら、部屋の中にも、タワーの鉄骨がそのまま残っているんです。
小木:こんなホテルの部屋、見たことないですよね。部屋からの眺望がまた素晴らしくって。でも、よくホテルにしようと思いましたね。改装するのが大変そうだなと(笑)。
豊田:正直に言うとすごい大変でした(笑)。でもおかげで、特別なステイになると思いますよ。このホテルのコンセプトのひとつが、「アート」なんですが、部屋ごとに、異なるアーティストに作品をつくってもらいました。建築のユニークさに加えアートも楽しめるホテルなんです。
小木:部屋によって雰囲気が変わるから、訪れるたびに違う部屋に泊まりたくなりますよね。僕、このホテルを見てみると、サステナブルだなって思うんです。昔からあるものに、再び光を当てて、もともと持っていた魅力を引き出し、さらに新しい価値まで与えているっていうか。
豊田:そうなんです。気づいてないだけで、身近なところに素敵なものってたくさんあるんですよ。
小木:それを見つけだせるかどうかですよね。
豊田:たとえば、私たちのホテルでやった伊勢型紙の展示は、蔵に眠っていた型紙を展示しました。過去に使われて、ずっと眠っていた型紙をたまたま目にする機会があって、そうしたらそれがすごく素敵で。だったらこれを展示しましょうとなったんです。
小木:型紙が、時を超えてアートとして再び価値を与えられたと。
豊田:しかも、その型紙は、商人が取引を記入していた帳簿を使ってつくられていたんです。
小木:ひとつのものが、形を変え、価値をアップデートし、長く伝わっていく。まさにサステナブル!リサイクル技術が発展することや環境にやさしい素材の開発も、もちろん大切だけど、意識を変えるとか視点を変えることでサステナブルなことってできるんですよね。
豊田:私も型紙を見て、先人たちはそれが得意だったんだなと気付かされました。あと、タイル作品をつくっている作家さんがいるのですが、その方は、かつて使われ川に捨てられた割れたお茶碗の破片にある模様を、パターン化してタイルにしているんです。そのタイルを私が使って、またいつか別の何かに生まれ変わる。そう考えると、ちょっとワクワクしますよね。
小木:物を見るときに“循環”という視点を持つと、ルーツを辿る面白さもあるし、未来を想像する楽しみがありますよね。それって、旅をすることと同じくらい刺激的なことだと思います。
豊田:はい。でも名古屋にも遊びに来てください(笑)。
小木:もちろん! 美味しい名古屋飯を楽しみに、また女将に会いに来ます(笑)。
《THIS MONTH GUEST》
THE TOWER HOTEL 女将
豊田 涼子さん
「ザ・タワーホテル名古屋」の取締役にして女将。ウエディングプランナーを経て、結婚式場の立て直しや立ち上げを任されたあと、料亭で10年修業して現職へ。女将という肩書には、日本の旅館のようなおもてなしをしたいという想いが込められている。

THE TOWER HOTEL NAGOYA
久屋大通公園内にある名古屋テレビ塔は、戦後復興のシンボルとして1954年に完成し、現在は国の有形文化財にも登録されている。2020年にホテルとして改装され、ロビーや客室は、塔のなかにある。