「あれが手に入れば幸せになれる」と突き進み、手に入ったらすぐさま、次なる“幸せをもたらしてくれそうなもの”を求める。そうした経験は、誰にもありますよね。でも、たとえ人がうらやむような高級品や実績を手にしても、それを認め、味わう感性や時間がなければ、持っていないのも同じ。何を手にしても欠乏感がつきまとうのだと、お座敷で垣間見ることがありました。幸せになるための必須アイテムは、お金でも物でも能力でもなく、“いまあるもの、いままでに与えられてきたものを味わう感性”であり、恵みを味わうことを“感謝”と呼ぶのだと思います。
「感謝をするといい」と言われるのは、人から好感を持たれるためではなく、身のまわりのありがたいものに気づき、味わうことで、自分の心が満たされ、幸せを感じられるから。そしてその幸せは、過去の出来事(誰かからの優しい言葉など)を思い起こすことでも得られ、前向きな行動のきっかけになることがあります。反対に、嫌なことを思い返していたら、「泣きっ面に蜂」のような心境になることも…。過去がいまの気持ちに影響を与え、未来に起こる出来事まで左右するのなら、日々、“感謝”に意識を向けていたい!と思います。が、不安や喪失感、怒りを感じているときなど、そうできないこともありますよね。人間だもの!(笑)。そんなとき私は、「ありがとう」と心の中で唱えることにしています。言葉につられて、頭が自然と身のまわりや過去の“ありがたいこと”を見つけ出し、見えていなかった恵みに気づいたり、一見すると嫌な出来事を、“未来のありがたいこと”に変える突破口が見つかったりするから。私には何もない、不幸で仕方ないなどと感じるときこそ、時を超えて幸せを与えてくれる感謝の力で、現実を変えていきたいものです。