生きる力をもらえる舞台に
アメリカで数々の演劇賞を総なめにした『Oslo(オスロ)』。2021年2月、この舞台がいよいよ日本初演を迎える。ヒロインのモナ・ユールを演じるのは、女優・安蘭けい。昨年、ミュージカル『サンセット大通り』に続き、『ビリー・エリオット』など、力強い演技で存在感を放ち続けてきた彼女が、新たに挑戦する舞台である。物語は、イスラエルとパレスチナの和平合意に寄与した夫婦と、その熱意に突き動かされた人々の実話をもとにしたもの。社会学者テリエと妻モナは、中東を旅するなかで、武器を手にして睨み合う少年たちを目撃したことをきっかけに、中東和平のために動き出す…。
「『オスロ』は、世界を変えるために行動を起こした夫婦を描いています。私たちにとっては、異国の地であり、時代背景も異なるので、一見馴染みのない話に聞こえるかもしれません。けれど、そこで起こった人間ドラマは、誰もが身近なところに置き換えて共感できるものだと思います」
ミュージカルに舞台、TVドラマなど、多方面でさまざまな役を演じてきた安蘭。この舞台で演じるモナは、どんな役どころなのだろう。
「モナは、とても強く賢い女性です。自分の立ち位置をわきまえ、どう振る舞うべきかがわかっている。だからこそ信頼を寄せられて、希望をもたらす魅力的な存在だったのだろうと思います」
世界中が一変した、2020年。いまこの作品を上演する意味を感じてもらいたいと、安蘭は続ける。
「昨年の自粛生活で、新しいことをはじめた方は少なくないと思います。どんな些細なことにも、世界を変えるきっかけがあるんです。生きるためには、前進することが必要です。テリエとモナにとっては、互いを信頼する心が原動力となった。そして、その固い絆で結ばれた二人がいたからこそ、いまがある。この舞台から生きる力を贈ることができたら。そんな想いをもっています」
あらん けい
1991年、宝塚歌劇団に首席で入団。2006年、星組男役トップスターに就任。09年退団。退団後も女優として舞台を中心に活動。『サンセット大通り』、『アリス・イン・ワンダーランド』の演技に対して第38回菊田一夫演劇賞を受賞。近年のおもな出演作に舞台『HAMLET-ハムレット-』、『変半身』、『ビリー・エリオット』、TV『危険なビーナス』(TBS)などがある。
舞台『Oslo(オスロ)』
作:J・T・ロジャース
演出:上村聡史
出演:坂本昌行、安蘭けい、福士誠治、河合郁人ほか
東京公演日程:2021年2月6日(土)〜2月23日(火・祝)
会場:新国立劇場 中劇場