池波作品のトリッキーさを、また新たに
小説家・池波正太郎の生誕100年を記念し、代表作のひとつ『仕掛人・藤枝梅安』が、二部作として映画化された。主人公・藤枝梅安を演じるのは、俳優の豊川悦司。舞台は江戸時代。人の命を救う鍼医者と、法で裁けぬ悪人を秘かに葬る暗殺者である”仕掛人”。2つの顔を持つ梅安のもとに「女を殺してほしい」と依頼が。しかしその女は、梅安の生い立ちに関わる因縁があった…。出演オファーを受けた際、豊川は少年時代に自身のヒーローとして憧れ、俳優の道を歩みだしてから薫陶を受けた緒形拳さんの顔が思い浮かんだという。
「小さい頃にテレビ時代劇『必殺仕掛人』で緒形拳さんが演じた“梅安”が大好きだったので、まさか僕に声をかけていただけるとは。大先輩たちが演じられてきた作品ということもあり、正直迷いもありましたが、緒形さんが『豊川、やってみろよ』と言ってくれている気がしたんです」
物語の中に描き出されるのは、残忍な悪と必要悪とも言える仕掛人による攻防。巧妙な„仕掛技”は、一瞬たりとも目が離せない。
「梅安は、悪を裁くダークヒーロー。彼を中心に、表と裏の世界が描かれているところが、この作品の見どころです。人は善いことをしながら知らず知らずのうちに悪いことをし、悪いことをしながら善いことをする矛盾に満ちた存在である、といった、いまを生きる人にも通ずる問いかけをしている…。池波先生のトリッキーな世界観を、より際立たせた作品にできたと感じています」
ビジュアルや音楽でも、時代劇にとらわれない表現を追求している本作。そんなアート性を感じる部分にも注目してほしいと豊川は続ける。
「いまだに色あせない池波先生の名作が、現代の技術を駆使して新たな表現の世界を切り開いたエンターテインメント作品になりました。どなたにも楽しんでいただけると思いますので、ぜひ劇場に足を運んでいただきたいです」
とよかわ えつし
大阪府生まれ。1990年、北野武監督の映画『3−4×10月』で注目され、以降、主演ドラマ『愛していると言ってくれ』、『青い鳥』などが大ヒットし、高い評価を得る。近年は『ミッドウェイ』、『弟とアンドロイドと僕』、『キングダム2 遥かなる大地へ』、『あちらにいる鬼』などに出演。『そして僕は途方に暮れる』も公開中。
© 「仕掛人・藤枝梅安」時代劇パートナーズ42社
映画『仕掛人・藤枝梅安』
全国公開中
監督:河毛俊作
出演:豊川悦司、片岡愛之助、菅野美穂、小野了、高畑淳子、小林薫、早乙女太一、柳葉敏郎、天海祐希ほか
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