phot: Kaori Nishida styling: Taiki Mishima hair & make-up: Akemi Ezashi(mod’s hair) text: Naho Sotome edit: Kohei Nishihara(EATer)

唐田えりか《プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」》 


だからこの仕事はやめられない

 30ページの戯曲を手渡され、3日後に公演を行うと言われた4人の女優。演出家不在の閉鎖空間で、集められた理由の説明もないまま、熾烈な舞台稽古を強いられる。切実な事情を抱えた4人の女優たちが赤裸々にぶつかり合うさまは、映画の虚構か、実際に女優たちが抱える現実なのか。セミドキュメンタリーのような形で、映画『Page30』の物語は進む。もしも自分が同じような状況だったら?主演の唐田えりかはこう答える。

 「最初は『最悪だ〜』と感じると思いますが、私は基本的に負けず嫌い。自分にとって厳しい場所や嫌だなと思う場所でしか成長できないと思っているので、なんだかんだ夢中になってやるでしょうね」

 映像作品でありながら、劇中劇も含めて演劇作品のような本作。舞台未経験の唐田だが、舞台上でセリフを忘れる夢を見ることがあるという。

 「その夢を見るたびに、舞台の怖さを感じます。舞台はたくさん稽古をして本番も何回もある。そんな中でリアルな感情の鮮度を保つことは難しいと思いますが、だからこそいつか勉強してみたいです」

 唐田が演じるのは、脚本を一度読んだだけで難解なセリフも覚えられる天才”だが、他人に対してはトゲがあることを口にしてしまう女優だ。

 「あんなに意地悪な性格の役を演じるのは初めて。しかも劇中劇のセリフは間違えてはいけないので、役柄もセリフ量も、自分にとっては挑戦の連続でしたね。じつは、予告編にも使われている叫ぶシーンは脚本上にはなくて、現場で生まれたもの。何よりクライマックスシーンであんなに感情があふれてくることは想像していなくて…。あの瞬間に、この現場にいられて良かったな、これだからこの仕事はやめられないなと思いました」

 本作のプロデューサーは、ドリームズ・カム・トゥルーの中村正人。公開にあたり、映画館「渋谷 ドリカム シアター」をつくり上映をする。その特別な空間で、唐田の挑戦を見てほしい。

 

からた えりか

1997年、千葉県出身。2015 年、女優デビュー。2018 年、濱口竜介監督作『寝ても覚めても』で映画初主演を飾り、山路ふみ子映画賞で新人女優賞、ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞。第77 回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した『ナミビアの砂漠』(2024) にも出演。Netflix オリジナルシリーズ「極悪女王」(2024) では長与千種を熱演し話題に。


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© DCTentertainment

『Page30』

4月11日(金)より渋谷 ドリカム シアター
ほか全国映画館にて公開
原案・監督:堤 幸彦
主演:唐田えりか、林田麻里、広山詞葉、MAAKⅢ
音楽:上原ひろみ、中村正人
製作 ⁄ 配給:DCT entertainment


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