水の都で語られる、原点の物語
荒木飛呂彦原作の『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれたスピンオフシリーズ『岸辺露伴は動かない』。この大人気コミックを原作とした、実写版の最新作となる映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』が、5月23日(金)に公開される。
相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力を持つ漫画家・岸辺露伴を演じるのは、ドラマシリーズと映画第1弾に引き続き高橋一生だ。2020年から露伴を演じ、自身も原作ファンを公言する高橋に『懺悔室』映像化への思いを聞いた。
「じつは最初のシーズンから『懺悔室』をいつやるかという話は出ていました。5年間かけて、今ようやく原点の物語に説得力が出せるところまできた。それだけ実写の世界観を強固なものにすることができたと思っています。露伴という人間の奥深さを表現していくことに喜びを感じていますし、毎回実験をするようにお芝居を楽しませてもらっていて。このキャラクターを長年にわたって演じられることに、とても感謝しています」
物語の舞台はイタリア・ヴェネツィア。取材で訪れた教会で、神父に間違えられた露伴はある男の恐ろしい懺悔を聞く。それは誤って浮浪者を殺したことでかけられた「幸せの絶頂のときに“絶望”を味わう」呪いの告白だった…。邦画初となるヴェネツィアオールロケの撮影について、高橋はこう振り返る。
「歴史的にもペストなどで多くの死者が出た街なので、その土地の暗い歴史がそこかしこに染み付いているような雰囲気を感じました。にぎやかな風景のすぐ後ろに霊柩船が運河を走っていたりと、死がとても身近にあるんです。生と死が渾然一体となっている街でのお芝居は、今作の物語にも深い影を落としているはずです」
光と影が潜むヴェネツィアの街で、時空を超えて続く呪いの物語。その結末を、ぜひ劇場で見届けてほしい。
たかはし いっせい
1980年12月9日生まれ、東京都出身。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍。舞台「天保十二年のシェイクスピア」(2020)で第45回菊田一夫演劇賞、「フェイクスピア」(2021)で第29回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。近年の主な出演作に「岸辺露伴は動かない」(2020-2024/NHK)、「ブラック・ジャック」(2024/テレビ朝日)などがある。連続ドラマW「1972 渚の螢火」(WOWOW)が今秋放送予定。
© 2025「岸辺露伴は動かない 懺悔室」製作委員会
© LUCKY LAND COMMUNICATIONS
『岸辺露伴は動かない 懺悔室』
5月23日(金)ロードショー
出演:高橋一生、飯豊まりえ、玉城ティナ、井浦新ほか
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:渡辺一貴
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
配給:アスミック・エース