photo: Mai Kise styling: Setsuko Morigami hair&make-up: Eri Akamatsu(ESPER) text: Naoe Hanamido(EATer)

《プロフェッショナルの肖像「PRO-FILE」》蒼井優①

コラム

自分の過去を、抱きしめたくなりました。

 ある夏の日、何匹ものペンギンたちが、街中に突如現れては消えるという不思議な現象が起こる。ペンギンはどこからやってきて、どこへ行ったのか? その謎を一人の少年が追いかけていく…。8月17日(金)から公開される『ペンギン・ハイウェイ』は、第31回日本SF大賞を受賞した、森見登美彦氏の同名小説を原作にしたアニメーション映画。この作品に、女優・蒼井優が声優として参加する。

 蒼井が演じるのは、小学4年生の主人公が憧れの女性として慕う歯科医院の“お姉さん”役。作中、主人公は彼女を„お姉さん“と呼ぶ。名前で呼ばれることはない。だからなのか、どこかつかみどころのない雰囲気が漂う。

 「“お姉さん”を演じるのは難しかったですね。テンションが高い役でもないし、“色”が付きすぎてもよくない。かといって個性がなくて“つるん”としすぎても良くない。演技できる幅が狭い中でのさじ加減が難しく、そこは挑戦でした」

 彼女は一体、何者なのか? ある不思議な能力を持つ„お姉さん“の魅力は、作品全体に浮遊感のようなものを与え、そしてその印象には、どこか懐かしさも伴う。

 「この作品の中で描かれている世界は、なぜか自分の原風景として捉えることができるんです。自分が置き去りにしてきた過去の時間や風景に、もう一度鮮やかに色を取り戻してくれるような感覚がありました」

 それだけで、見てよかったと思えるほどの価値がある。そう蒼井は続ける。

 「見る人によって、違う視点で、異なる解釈ができる作品です。けれど共通しているのは、自分の過去を抱きしめたくなるような気持ちになるということ。それは、とても素晴らしいことだと思います」

 ある少年が体験する、ひと夏の不思議な冒険。その追体験を通じて、私たちは自分の過去をもう一度思い出すのかもしれない。

明日は②WEB  EXTRA、「声」の仕事の魅力

   ③追いかけようとすると思考から逃げていく、難しい役

あおい ゆう

1985年生まれ、福岡県出身。
2006年に『フラガール』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、新人俳優賞ほか多数の賞を受賞。近年の映画出演作は、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)など。『鉄コン筋クリート』(06)をはじめ、アニメーション映画への声の出演も多数


metro188★PH_CP01c0037B_t03_PH1920_0009_s.png© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会

『ペンギン・ハイウェイ』

8月17日(金)より全国ロードショー 

監督:石田祐康
キャラクターデザイン・演出: 新井陽次郎
脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
出演:北香那/ 蒼井優ほか
原作:森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』(角川文庫刊)
制作:スタジオコロリド
配給:東宝映像事業部



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