「頭皮がベタついて、かゆい!」と思ったら、脂漏性湿疹を疑ってみて。
頭皮は自分では見えにくく、いじって症状を悪化させてしまいがち。
早めに皮膚科を受診しましょう。
Q1.どんな病気なの?
脂漏性湿疹とは、頭皮や顔(とくに生えぎわや鼻の周囲)など、皮脂の分泌が活発な場所によくできる湿疹です。症状が悪化するとかゆみが強くなります。とくに頭皮ではベタベタした分厚いフケが出て、髪の毛にからんで取り除くのが難しく、清潔に保てないように。頭皮は髪の毛が生えているため薬が患部に届きにくく、難治化しやすいのも特徴です。赤ちゃんによく見られるものですが、年齢を問わず、人知れず悩んでいる人の多い病気です。
Q2.原因はなんですか?
原因のひとつとして、マラセチアという真菌(カビ)の異常増殖がありますが、そのほかにもさまざまな要因があり、はっきりと解明されていません。マラセチア菌は誰でも持っている常在菌で、体調や環境の変化が、増殖のきっかけになります。寒い冬に発症することもあれば、高温多湿になる梅雨から夏にかけて発症する場合もあり、時期も特定されていません。ある文献では、男女比は2対1とありますが、男性のほうが皮脂の分泌量が多いことが、その要因でしょう。
Q3.具体的な治療法は?
皮膚科にかかり、湿疹の症状によって、ステロイド薬や抗真菌薬を用います。いったん症状が落ち着いたように見えてもすっきりと治らず、完治するまで、数カ月以上かかることもめずらしくありません。治りにくい原因として、髪の毛が邪魔して薬が患部にいきわたらないことがあります。当院では、シャンプーに抗真菌薬を混ぜ、薬を患部にしっかり届けて治療します。洗髪後は頭皮用の保湿液でうるおいを保ち、皮膚のバリア機能を取り戻し、再発を防ぎます。
Q4.治療中のケア方法は?
頭皮を含め、皮膚を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を崩さないようにします。必要な場合は、保湿もしましょう。また、清潔にしようと刺激の強いシャンプーを使うと、かえってバリア機能を壊してしまうので注意が必要です。ムレを防ぐため、洗髪後はドライヤーで髪の根元までしっかり乾かします。帽子をかぶるなら、真菌の増殖を防ぐために頻繁に洗濯し、汗をかいたらこまめに拭いて頭皮がムレないようにしましょう。枕カバーやシーツもこまめに洗うことが大切です。
Q5.自分でできる予防法は?
普段から、顔や体の皮膚だけではなく、頭皮も清潔にして、皮膚のバリア機能を正常に保つことが基本です。また、バランスのよい食事をとり、脂質や糖質を多く取り過ぎないようにしてください。とくに精神的なストレスが、発症の引き金や症状の悪化の原因になることが多いので、日頃からのストレスマネージメントも大切です。毎日の睡眠の質を高め、ストレスや疲労を溜めないよう、常に心がけたいですね。
監修:浜中聡子先生
クレアージュ東京 エイジングケアクリニック 院長