月経痛を、「いつものことだから」とがまんしていませんか?でも、その痛みの原因は子宮筋腫かも。早く治して、快適な月経ライフを過ごそう!
Q1.どんな病気なの?
子宮筋腫とは、子宮の壁(平滑筋)にできる良性の腫瘍です。多くは2個以上のこぶが発生する多発性で、非常に小さな筋腫まで含めると、30歳以上の女性の7割以上が持っているというデータもあります。卵巣から分泌される女性ホルモンの影響で大きくなることがわかっており、性成熟期に増大し、閉経後には萎縮・縮小していきます。はっきりとした原因は解明されていませんが、最近では遺伝的要因があるとも考えられています。
Q2.どういう症状があるの?
筋腫ができる場所や大きさによって症状はさまざまですが、筋腫が大きくても症状が出ないこともあります。筋腫ができる場所は、子宮の壁の外側の漿膜、漿膜内の筋層、内側の粘膜の3層のいずれかで、最も症状が強く出るのは、粘膜にできる粘膜下筋腫です。主な症状は月経痛、過多月経、不正出血、貧血、腰痛、不妊症などです。筋腫が大きくなると膀胱や腸など周囲の臓器を圧迫するようになり、排尿障害や便秘の原因にもなります。
Q3.どうやって検査するの?
婦人科外来ですぐにできるもっとも簡単な検査方法は、内診と超音波検査です。これらで子宮筋腫が疑われた場合は、MRIなどで精密検査をするのが一般的です。2年に一度受けることが推奨されている子宮頸がん検診には、超音波検査が含まれていないため、オプションで超音波検査も行うと小さな子宮筋腫も発見できるので、より安心です。子宮筋腫を予防する方法はないため、定期的な検診によって早期発見することが大切になります。
Q4.具体的な治療法は?
治療法は、薬物療法と手術があります。薬物療法としては、月経痛などの症状を緩和する低用量ピルや、筋腫を縮小するためのホルモン療法など。手術は、年齢や出産歴を考慮して、根治を目指す子宮摘出術や妊娠の可能性を温存する筋腫核出術などを行います。最近は、傷が小さく入院期間も短い腹腔鏡手術やロボット支援手術などを行うことが増えていますが、筋腫のある場所や大きさによっては開腹手術が必要になる場合もあります。
Q5.放置しても大丈夫?
子宮筋腫があっても自覚できず、放置している人が多いのが現状です。月経痛の程度は人と比較できないため、つらくてもがまんして子宮筋腫を悪化させてしまうケースも多く見受けられます。子宮筋腫は悪化すれば不妊の原因となり、治療を施しても子宮が元の状態に戻らないことや、子宮摘出が必要になることもあります。放置しても悪性化はしないと考えられていますが、症状が似ている悪性腫瘍もあるので注意が必要です。
監修 柳田聡先生
東京国際大堀病院 婦人科副部長