低血圧は放置しても大丈夫と思っていない?低血圧はさまざまな病気を引き起こす疾患。甘く見ないで、きちんと治療しよう。
Q1.低血圧は病気なのでしょうか?
低血圧とは、一言で言うと血圧が低くなる疾患です。血液の循環が悪くなり、生きるパワーが低下します。その定義ははっきりしていませんが、一般的には、基礎血圧の収縮期血圧(上の血圧)が100mmHg未満だと低血圧とされます。低血圧には種類がありますが、一般的なのは、寝た状態と立った状態の両方で起きる「本態性低血圧」と、立ち上がると起きる「起立性低血圧」です。後者は、若い女性やナイーブな人に多いものです。
Q2.症状は?放置するとどうなるの?
症状は全身におよび、立ちくらみ、めまい、疲労感、朝起きられない、動悸、頭痛、食欲不振、肩こり、腰痛などさまざまです。著しくQOL(生活の質)が低下し、うつ病など、メンタルの病気と間違われやすいのも特徴です。放置することは、過敏性腸症候群や線維筋痛症、子宮筋腫などを引き起こし、さらには動脈硬化による脳梗塞や心筋梗塞、アルツハイマーやがんといった、あらゆる病気の土台をつくるようなものです。
Q3.低血圧の原因とは?
一般的な低血圧は、遺伝的体質に、不規則な生活・運動不足・ストレスなどが加わると、心臓の機能が低下して末梢に汚れた血液が溜まり、全身の血液循環が悪くなって起こりやすくなります。低血圧の背景には、低血糖や血糖値スパイク(食後に血糖値が急上昇・急降下する)もあります。とくに10代の成長期に大食いや早食いを習慣にすると、膵臓を酷使し、低血糖体質をつくる原因になるので注意しましょう。
Q4.どうやって治療するの?
病院では、生活指導や運動指導を行い、薬を処方することもありますが、なにより大切なのは、患者さん自身が生活習慣を改善することです。早寝早起きなどの規則正しい生活習慣や、時間をかけて食事をすること、運動で心臓を鍛えること、塩分・タンパク質・ミネラルの多い食事を取ること、リラックスして心にゆとりを持つことなどを心がけましょう。低血圧の治療方法は、あらゆる病気の予防やQOLの向上につながります。
Q5.正しい血圧の測り方は?
血圧とは非常に繊細で、感情や体調、天候などによっても変動します。病院では、5回ほど深呼吸してから測るとよいでしょう。低血圧を見つけるためには、朝起きたらすぐに血圧を測り(基礎血圧)、記録をつけるのがおすすめです。「起立性低血圧かな?」と思ったら、横になって2分おきに3回、立った状態で2分おきに5回血圧を測り、立ったときに血圧が20mmHg以上下がっていないかどうかを確認します。
監修:永田勝太郎先生
公益財団法人国際全人医療研究所
千代田国際クリニック 院長
https://www.ciclinic.net