さまざまな企業の“サステナブル”な“アクション”をメトロポリターナ調査隊が突撃取材!
編集:サステナブル素材70%のデモ用タイヤを発表されましたが、どのようなタイヤなのですか?
石田:タイヤはさまざまな素材を組み合わせてつくられていますが、補強材であるカーボンブラックは、石油製品を燃やしてつくられます。サステナブルタイヤでは、燃やす石油製品を植物性オイルなどに置き換えることで、製造工程で出る炭素排出量を削減。籾殻由来のシリカや、再生プラスチック原料も使用しています。また、タイヤの柔軟性を保つために、石油系製品のかわりに大豆油を使っています。これは弊社独自の技術革新によるもので、すでに一部のタイヤ製品に採用されています。
編集:タイヤ業界の中でも、先がけてサステナブルな取り組みをされていますが、その理由は?
石田:弊社では「Better Future」をスローガンに掲げ、「サステナブルな原材料の調達」「モビリティ社会の向上」「責任ある経営」「互いに高め合う文化」という4つのテーマを通して、より良い未来の実現を目指します。とくに「サステナブルな原材料の調達」は筆頭に掲げているもので、タイヤのライフサイクルにおいて、環境負荷を減らす研究を重ねてきました。
編集:そもそも、タイヤ業界が環境に与えている影響とは?
石田:国内では、年間およそ9100万本のタイヤが捨てられています。海洋に流されるマイクロプラスチックは年間およそ1200万トンで、そのうち12〜13%はタイヤくずと推測されています。
編集:タイヤ業界全体でも、環境保全への動きは進んでいますか?
石田:JATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)の会議では、環境保全について議題にあがっています。自動車のCO2 排 出量には、走行中のタイヤにかかる荷重も関係しています。タイヤへの抵抗力が低いほど燃費がよくなりCO2の排出量が減るので、JATMAでは抵抗力が少ないタイヤの普及にも取り組んでいます。
編集:モータースポーツ用のタイヤでも、持続可能性への取り組みをしていますか?
石田:グッドイヤーは、ル・マン24時間レースや9月に開催された富士スピードウェイの6時間耐久レースなど、FIA世界耐久選手権(WEC)のLMP2クラスにタイヤを供給しています。一度使用したタイヤは、次のレースでは使えません。また、路面状況に合わせて何回もタイヤを交換すれば、タイヤの廃棄量も増えます。グッドイヤーでは持続可能性への取り組みとして、さまざまな路面に対応する2種類のタイヤを開発し、これまで3種類のタイヤを供給していたのを、2種類に減らしました。それによって廃棄タイヤを、通常より1000本ほど減らし、タイヤの輸送時に出るCO2も削減できました。
編集:サステナブルな取り組みにおける今後の目標は?
石田:2030年までにサステナブル素材100%のタイヤを開発することが目標です。走ると酸素を放出するなど、夢のようなコンセプトタイヤのアイデアも生まれています。自由な発想を大事にしながら、持続可能でより快適なタイヤを実現していけたらと思っています。
*1 「2021年廃タイヤリサイクル状況」(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)より
*2 国際自然保護連合(IUCN) 2020発表資料より

グッドイヤーの技術革新によってタイヤへの大豆油の使用が可能に。大豆油は、極端な温度変化の中でもタイヤの柔軟性を保ってくれる。

FIA世界耐久選手権ではインターミディエイトタイヤを廃止。スリットコンパウンドと、フルウェットトレッドタイヤの2種類を供給。
About company
サステナブル素材のタイヤで
持続可能な社会に!

日本グッドイヤー株式会社
石田政彦さん
ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニーは、1898年に米国オハイオ州で誕生した、世界的なタイヤメーカー。日本グッドイヤー株式会社は1952年設立。国産品と海外からの輸入によって幅広い需要に対応できるタイヤを取り揃えている。
メトロポリターナの
#サステナアクションプロジェクト
最近よく耳にする「サステナブル(持続可能)」という言葉。地球環境を守るために私たちができることってなんだろう…? メトロポリターナでは、“環境をより良くするちょっとしたアクション”を「#サステナアクション」と名付け、サステナブルな社会の実現を後押ししていきます。詳しくはInstagramをチェック!