photo: Naoki Muramatsu edit: Shiori Sekine, Hideki Taira(EATer)

ツバメノートの大学ノート[東京きらり人]

コラム, おでかけ

この街の、ちょっといいものつくる人


【ツバメノートの大学ノート】

《ツバメノート株式会社》 渡邉崇之さん(左)渡邉武雄さん(中)髙野凜太郎さん(右) 

定番の先を行く、
ノート界のマスターピース。

 ツバメノートーーたとえ聞き覚えはなくても、表紙を見ればハッとする人がほとんどだろう。キャッチコピーは、「知っている人は、知っている。」だ。国内外で高く評価されている、大学ノートの代名詞ともいえる存在である。

 「創業当時に、燕(ツバメ)さんという営業マンがいて、お客さんから『ツバメさんのノートがほしい』と、たいへん人気があったそうです。それを聞いた創業者で父の初三郎が、せっかくならとツバメさんの名前をノートにつけて、社名にもしたんです」(武雄さん)

 使用している紙は筆記用の中では最上位とされるフールス紙で、ツバメノートが最も大切にする、“なめらかな書き心地”を支える。

 「通常のフールス紙よりもさらに手間をかけて丹念に漉いた、オリジナルの“ツバメ中性紙フールス”を使っています。ツルツルしすぎず、ざらざらもしていない、ちょうどいい質感です。どの筆記具でも書きやすいのですが、とくに相性がいいのは万年筆。ペン先が気持ちよく引っかかり、インクがにじみにくく、裏移りもしにくいのが特徴です」(工場長・崇之さん)

 「紙は白くすればするほど蛍光染料が必要になりますが、うちではいっさい使っていません。自然な白なので目にやさしく、長時間ノートを開いていても疲れにくいと思います」(髙野さん)

 ツバメノートは、製本作業を委託していた町工場から譲り受けた昔ながらの機械と技術、そして人の手の感覚と目を頼りに、手作業で丁寧につくられている。

 「紙は生き物のようなもので、季節や天候、温度や湿度など、その時々の環境によって微細に変化します。それに合わせて機械をセッティングし直さないといけません。昨日と同じようにしても、うまくいくとは限らないんです。同じ製品をつくり続けることは、とても難しくて、正解がありません。だからこそ突き詰めていきたい。理想は、使い手がめくったときに  “心地いい”と思えるようなノート。興味は尽きず、日々、のめり込んでいますよ」(崇之さん)

 ツバメノートの真摯なものづくりは、これからも続いていく。

metro247_tokyo-kiraribito_1.jpg

糸綴じの分け折り製本はツバメノートの特徴のひとつ。表紙・裏表紙と本文の見開き中央をミシンで一緒に縫い込むので、耐久性に優れ、開閉しやすい。写真は製本途中。

metro247_tokyo-kiraribito_2.jpg

2012年にはグッドデザイン賞を受賞。


《買えるのは、ここのお店》

秋葉原(東京メトロ日比谷線)
ツバメノート株式会社

metro247_tokyo-kiraribito_3.jpg

1947年(昭和22年)創業。表紙のデザインは、通りがかりの占い師が「自分はデッサンもする」というので描いてみてもらったところ、創業者の初三郎さんが気に入って買い取ったとか。以来、一度も変わることなく幅広い世代から親しまれている。

東京都台東区浅草橋5-4-1

Tel. 03-3862-8341
[営]9:00~17:30
[休]土・日・祝

https://www.tsubamenote.co.jp


紙へのこだわりが素晴らしく、ノートの中綴じ作業も昔ながらの足踏みミシンを使い、すべて手作業で行われています。

metro247_tokyo-kiraribito_4.jpg

案内人
安井邦好さん

日販セグモ株式会社代表取締役。さまざまな“こだわり”を持つユーザーを対象とした「検定試験」や「イベント」などを手がける。


《イベント情報》

「文具女子博2023」

日時:12月14日(木)~17日(日)
場所:パシフィコ横浜 展示ホールD(神奈川県横浜市西区みなとみらい 1-1-1)
みなとみらい線「みなとみらい駅」から徒歩5分
JR京浜東北線・横浜市営地下鉄
「桜木町駅」から徒歩12分

https://bungujoshi.com/


LATEST POSTS