「フエルサブルータ WA!」のシンボルにもなっている頭上に現れる巨大透明プール。手を伸ばせば届くところに幻想的な世界が広がります=東京都品川区の「品川ステラボール」 (写真・田中幸美)

《品川》「フエルサ ブルータ」最新作「WA!」が開幕 品川ステラボール

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 南米アルゼンチン発で世界30の国と地域において500万人以上を魅了した新しい体験型エンターテインメント「FUERZA BRUTA」(フエルサブルータ)の最新作「WA!」が1日、世界に先がけて東京・品川の「品川ステラボール」で開幕しました。

前から迫り来る障害物をすり抜けてランニングマシンの男性は走ります


 「フエルサ ブルータ WA!」は構想に10年かけ、日本にインスパイアされたアルゼンチンと日本の共同制作の作品です。テーマは、〝サムライ〟〝ゲイシャ〟など「外国人が見た日本」。最新テクノロジーの装置を使った驚異的なアクションに加え、まばゆいばかりの光と斬新な映像、ダイナミックな音楽が、スピード感あふれる演出によって1つとなり、常識と重力を超越した世界を作り上げます。

日本にインスパイアされて制作された日本とアルゼンチン共同制作「フエルサ ブルータ WA!」には、随所に日本をイメージしたシーンが現れます


 ちなみにWA!は、和風や平和の「和」をイメージしたほか、「ワオ!」という驚きの意味も込められているそうです。
 初回公演に先がけて1日午後には、公演のチーフ・アンバサダーを務める岸谷五朗さんや、アンバサダーの大谷亮平さん、松井愛莉さんら俳優やタレントが華やかにレッドカーペットセレモニーに駆けつけ、初日の公演を鑑賞しました。

レッドカーペット入場するチーフ・アンバサダーの岸谷五朗さん(中央)


 佐藤健さんは、「初めて『ビーシャ・ビーシャ』(フエルサブルータの前身となる作品を)見たときの衝撃を今でも鮮明に覚えているので、今度はどんな風に僕たちを驚かせてくれるのかすごく楽しみです」と、また神木隆之介さんは、「前情報が何もないんです。何が起こるかわからないのでドキドキワクワクしています」と話していました。

仲良く入場した佐藤健さん(左)と神木隆之介さん


「Perfume」もWA!のボードを手にして入場しました


 さて「WA!」の内容なのですが、ネタバレにもなるので詳しくは解説しませんが、会場内はすべてのシーンの写真撮影がオーケーなので、SNSにアップされた映像などから雰囲気をつかむことはできるでしょう。しかし、SNSなどでは決して伝わらない本物の〝肌感〟はやはり会場でないと体験できません。
 WA!は、薄暗い会場内をパフォーマーだけでなく観客も動く体験型の公演です。しかも会場全体が装置になっています。ですから、2階は指定席ですが、1階はすべてスタンディング。あふれる臨場感を持ちたいなら断然1階をお薦めします。

1階なら、こんなワイヤを使ったパフォーマンスが身近に感じられます


 会場の前室ともいえるエントランスに入ると、桜吹雪や青海波模様、ツルなどの和の映像が絶え間なく映し出され、すでにWA!への導入が始まります。その後、数百人の観客は6つに区切られた部屋に分かれて待機。部屋を区切っていたパーティションの布が取り外されて、公演はスタートするという仕組みです。

会場へと至る前室では「和」を意識した映像が流れ、すでに導入が始まっています


 WA!には、ストーリーやセリフは一切ありません。いわゆる「ノンバーバル・パフォーマンス」です。ダンスやパさまざまなフォーマンス、アクションなどが間断なく会場のあちこちで繰り広げられます。
 オープニングで和太鼓の演奏が始まると早くも観客のボルテージは上がり、音楽に合わせて体を揺らしたり声を上げたりする人で会場は巨大な〝クラブ〟状態に。

まるで「クラブ」で村祭りが行われているような雰囲気ですね


 曲調が盛り上がってくると、突然観客の頭に紙吹雪とともにパフォーマーの一丸が降ってきました。観客の頭上すれすれに行ったり来たりするワイヤアクションです。よく見ると、パフォーマーは一揆を起こす農民のような衣装を身につけていて、これも〝和〟なのでしょうか。

観客の頭上を行ったり来たりするワイヤアクション


 さらに、スタッフに促されて会場を二分してスペースを作ると、そこをかき分けて登場してきたのは巨大なランニングマシン。その上を赤い甲冑のサムライたちが暴風を受けながら走ったり、怒濤の行進をしたりします。

甲冑姿のサムライが現れます


 また、滝のように水が落ちる壁を垂直に人が歩くさまは〝修行〟を連想させるし、ゲイシャが逆さになって舞ったりと、随所に〝ジャパネスク〟といえる演出が施されています。次は一体何が起こるのか、ワクワクしながら待ちます。

壁を白装束で歩く人は修行者を連想させます


 圧巻は、天から降りてくる巨大な透明プール。フエルサブルータといえば真っ先に思い浮かぶのはプール。最初は美しい泳ぎを見せていたパフォーマーたちですが、次第にスライディングをしたり、プールに身体を打ち付けるなど荒々しい動作に代わっていきます。そのたびに下から見上げる観客からは「きゃ-」「うわ-」という悲鳴にも近い声が上がります。

シンクロ選手のような美しい動きをしていたかと思えば、いきなりスライディングしたり身体を水面に打ち付けるパフォーマンスに観客は歓声を上げていました


 そして一瞬、手が届く距離までプールは近づき、また再び天へと上がっていきます。
 これはほんの一部です。70分にわたって休むことなく、驚きの光景がものすごいスピード感で展開されていきます。

ショーの後半は、観客はずっと上を向いたままなので、かなり首が痛くなります


 次々に繰り広げられる幻想的で美しいパフォーマンスにすっかり魅了され、アドレナリンは出まくり、終わるころにはちょっとした疲労感と高揚感に満たされます。

フィナーレは会場が一体となってクラブと化します


 ブエノスアイレスで稽古からずっと見ていたという岸谷さんは初日の感想を求められ、「1つ1つのブロックが成功するたびに、よかったと安堵して、もうクタクタです」。さらに、「特殊なパフォーマンスが全部うまくいきました。日本であれだけのセットを組んで、けが人もなく終わることができたことだけでも大成功と思っています」と、興奮気味に話していました。
 大谷さんも、「臨場感とお客さんとの一体感があるとは前に聞いていたのですが、思った以上でした」と話していました。

初回を鑑賞後、「WA!」のポーズを取る(左から)アンバサダーの大谷亮平さん、チーフ・アンバサダーの岸谷五朗さん、アンバサダーの松井愛莉さん、サンプラザ中野くん=品川ステラボール


 言葉では表現ができない究極の体験世界が「フエルサ ブルータ WA!」です。ぜひ、あなたの五感を総動員して、WA!の世界を体験してください。 (写真はすべて田中幸美)

◆「フエルサ ブルータ WA!」は、8月1日(火)~12月10日(日)、東京都港区高輪4-10-30の「品川プリンスホテル ステラボール」で。
1Fはすべてスタンディングで前売り7600円、当日8700円(いずれも税込み)。2F指定席は、前売り1万800円、当日1万2000円。(いずれも税込み)。
問い合わせは☎0570・550・799(キョードートーキョー)
オフィシャルサイトは、http://fbw.jp/


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