後陽成天皇(1586~1611年)の時代から御所の御用を勤める和菓子の老舗「とらや」。職人が腕をふるう製造場は「御用場(ごようば)」と呼ばれ、繊細な仕事を施した生菓子や焼き菓子を生み出してきました。10月1日(月)にリニューアルオープンする赤坂店は、ガラス張りの御用場を初めて店内に設置し、つくりたてを味わえ、間近で菓子作りを見ることができるようになります。
「赤坂店御用場は生菓子が中心なので、ほぼ手作業です。その仕事を常設のお店で見てもらうの初めてになります」と御用場を担当する杉山康二さんは表情を引き締めます。
とらやのお菓子は通常、東京(赤坂)、御殿場(静岡県御殿場市)、京都(南丹市)の各工場で製造。御殿場工場は見学者コースを設置していますが、手作業を実感できる距離で見られるのは赤坂店のみ。
なかでもガラスに面した平鍋で焼くお菓子「残月」は、御用場でつくった当日に店頭や喫茶に並ぶ限定バージョンです。杉山さんは「お客さまとの距離感が近いので臨場感があるし、つくりたてのおいしさもあります」と語っていました。