東京メトロ沿線をはじめとして、編集部が“いま気になること”を紹介している「気ままにメトロポリターナ」。映画好きの編集部員・関根が、ミニシアターの魅力をお届けする「東京ミニシアターダイアリー」第7回は、掘り出しもののような映画に出合える、渋谷にあるミニシアターをご紹介します。
渋谷/シアター・イメージフォーラム
渋谷駅から宮益坂を上がって、青山通りを右に入ったところに見えてくる、コンクリートを基調としたスタイリッシュな外観の建物が、私がよく足を運んでいる映画館「シアター・イメージフォーラム」です。こちらの魅力は、なんといっても独自の上映ラインナップ。海外の個人作家による日本初公開の作品や、コアな映画ファンが注目する監督の特集上映など、ほかではまず見られない、貴重な作品の数々を見ることができます。どうしてそうした作品ばかりを上映しているのか? 劇場担当の山下宏洋さんにお話を伺いました。

「ここはもともと、映画興行のシステムに乗らないような、個人で制作した映画を上映する活動団体の拠点でした。そんな背景があり、映画の表現としての可能性を楽しんでもらいたいという思いで、個人の映像作家による実験的な映画を多く上映しています」と山下さん。一般的な映画の枠にとらわれず、ユニークな作品を上映しているのには、そうした経緯があったのですね。注目作品を見に映画館に行くのもいいけれど、ふらっと訪れて未知の作品との出合いを楽しめるのも「シアター・イメージフォーラム」の魅力のひとつです。

撮影:三嶋一路(Artifact)
この映画館は、上映に加えて映画制作のワークショップや、個人作家による映画の祭典「イメージフォーラム・フェスティバル」の開催などを手がけていることも大きな魅力。今年の9月から11月にかけて行われた「イメージフォーラム・フェスティバル2021」では、アルゼンチンの監督による本編14時間超えの長尺映画や、7分の短編アニメーションなど、さまざまな作品が上映されました。反響の大きかった作品は、フェスティバル後に映画館で上映されることもあるそう。こうして、世界中の素晴らしい作品が日本の映画ファンに届けられています。

私がここで見たい作品は、来年1月から上映予定の『三度目の、正直 Third Time Lucky』。黒沢清監督『スパイの妻』や、濱口竜介監督『ハッピーアワー』の共同脚本を担当した、野原位監督のデビュー作品とあって、期待も高まります…! そして、もうひとつ気になるプログラムは、現在開催中の「イメージフォーラム・マッドナイト」。あまり映画館で上映されない“超”長尺作品を中心に上映する、オールナイト企画です。動画配信サービスでついつい夜更かしをしてしまう…。という人も、いつもと違った体験を楽しんでみては。映画愛あふれる上映プログラムで楽しませてくれる「シアター・イメージフォーラム」に、ぜひ足を運んでみてください。

THEATER IMAGE FORUM
渋谷区渋谷2-10-2
[TEL]03-5766-0114
[休]無休
https://www.imageforum.co.jp/theatre
※営業時間や上映作品などは、公式サイトでご確認ください