前回に続き、代々木上原駅近くのモスク(礼拝堂)「東京ジャーミイ」の撮影をお送りします。建物の美しいシンメトリー(対称)を意識した前回から一歩進み、ディテールを切り取ることで雰囲気や特徴を伝える写真に挑みました。
1階のトルコ・イスラム芸術作品の展示場や図書コーナーを抜け、約630人を収容できる2階(中2階含む)の礼拝所に。お祈りは男女別々で行う慣習から、2階は女性のみが入れる礼拝所になっています。
らせん階段を上ると、天井ドームのカリグラフィやステンドグラスに施された細やかな意匠がよく分かります。一見すると違いが判別できませんが、それぞれが文字として違う意味があるとか。パンフレットを参照しながら見ると、「ゆりかごから墓場まで知識を求め続けなさい」などありがたい意味が載っていて勉強になりました。
さて、しょうめい先生から「ディテールに迫る撮影」というお題をもらったので、レンズを望遠に付け替えます。1階に比べて光量が少ないので、ISO感度やシャッタースピードなどの設定も変更。まず、絨毯の色が何とも言えずお洒落(しゃれ)なので撮ってみたのが冒頭の1枚。
スカーフを巻いた女性を入れ、アクセントにしてみました。いつも、先生に「つまらない構図」と”お小言”をもらうことが多いのですが、意識して余白を思い切って取ってみたところ「巧く撮れている」とお褒めの言葉を頂きました!
1階に降りると、先生が窓際のコーラン(聖典)を撮影しています。モスクらしい景色と納得し、まねしてみました。
窓の外に傘をさす通行人が見え、巧く入れようと思いながらシャッターを切ります。設定の変更にてこずり、かなりぼんやり…もう少し練習が必要ですね。
「建築物や内装の撮影は全体を撮影して満足してしまう人が多いけれど、ディテールを意識すると普段のスナップと”ひと味違う”写真が撮れるよ。象徴的なものや細部にフォーカスして、全体を表現できるよう意識してみよう」と先生。講義を聴きながら手元を見ると、見慣れないカメラが目に入りました。
立方体のようなレトロな雰囲気が格好いい!と熱い視線を送っていると、先生がスウェーデンのメーカー「ハッセルブラッド」の中判カメラだと教えてくれました。一眼レフが35mm幅(フルサイズ)のセンサーで画像をとらえるのに対し、中判はより大きなセンサーを内蔵し、より高画質の写真が撮れるそう。大まかにレンズ、
「センサーが大きい分、被写体の質感を繊細に表現できるから、こういったディテールの撮影にぴったりなんだ」と先生。お手本の1枚は、カリグラフィがより美しく見えて”さすが”の仕上がりに。
わたしも使わせてもらいましたが、上からのぞき込んでシャッターを切ったり、レバーを巻き上げたりアナログでプロ気分を味わえました。とっても使うのが難しそうですが、マニュアルを極めた次のステージにはもってこい?のカメラかもしれません。
インスタなどで建築物や内装の写真はよく見ますが、全景を写したいかにも”旅行写真”なものが大半。一見どこかわからない細部をあえて撮った1枚は、オリジナリティーが出るし、自分のセンスを発揮できるのでおススメです!。旅行に行く際は今回のアドバイスを忘れず、ディテールも意識した撮影を心がけようと思います。
東京ジャーミイ・トルコ文化センター(渋谷区大山町1-19)
服装や見学、写真撮影についての諸注意はHP(https://tokyocamii.org/ja/visit/)で必ず事前にご確認を。
問い合わせは、TEL 03-5790-0760、info@tokyocamii.org
※カメラ女子への激励や、しょうめい先生に教えてほしいことなどご意見・ご感想を募集します。編集部(question@metropolitana.jp)までどしどしお送りください!
しょうめい先生 新聞社で報道写真を撮り続けて40年以上のベテランカメラマン。ライフワークとして鎌倉の景色を撮り続けるほか、某大学芸術学部の写真学科で講師も務める。鎌倉ドローン協会の理事の肩書きを持ち、最新の撮影グッズにも精通している。
Illustration:Nozomi Yuasa
※第1、第3週の水曜掲載。