「私、ブルベ夏で骨格ウェーブなんで、この服って似合わないと思うんですね」。ある女子の会話です。ほえええ、と思うほど謎ワードだらけと思ったあなた。すっかりいまの診断ブームに乗り遅れております。解説をすると、ブルベ=ブルーベース、イエベ=イエローベース。これは肌色タイプのことです。そのなかにまた春夏秋冬の4つの分類があります。骨格ウェーブとは体型の種別のひとつで、ストレート、ウェーブ、ナチュラルの3種類があります。肌、体型、顔の形、性格…。なんでもかんでも診断なのです。Clubhouseやインスタのプロフィール欄でも事細かに自己分析を載せている人を見かけます。これに加えてゲッターズ飯田さんの「銀のカメレオン座」的なのも入ってきて、本当ややこしい(笑)。
実際に、私も当たると話題のオルビスのアプリで診断してみました。顔写真を撮って詳細にAI診断をしてもらえます。それによると、私は「イエローベースの春」だそうです。ふむふむ。似合うリップはコーラルで、ファンデーションの色みも黄みがかったベージュ。また、骨格診断で有名なスタイリスト、ひるいちかさんの診断サイトによると、私の体型はナチュラルタイプ。こうやって調べてみると、自分のことって、わかっているようで、わかっていなかったのだと実感します。
診断アプリの面白さは「あなたは○○な人です」と言い切ったりしてもらえる快感です。普段だったら化粧品を買うとき、売り場のBAさんのアドバイスをもらったり、テスターを使って選んでいました。しかし、自粛期間で店頭に行けなくなってしまったこともあり、こういった非接触の診断ブームに拍車がかかったのだと思います。診断結果で自分に似合う服、似合う色、似合う化粧品がわかると、ネットで購入するときも安心感が増して販促になります。最近では性格診断などを生かしたマッチングアプリや就活アプリも登場。ここで気づくのは、服やメイク、恋人や職場を選ぶときにみんな失敗したくないんだな、ということです。
これまでも診断モノは何度も流行ってきましたが、最近のこのブームの特徴は、みんなで診断結果をシェアしたり、プロフィールに載せるというところです。「私はこんなキャラなんでよろしく」的な。やんわりと自己承認欲求のような空気も漂います。一方で、自分を単純にパターン化して、固定する怖さみたいなことも感じるんですよね。「私って、〇〇な人じゃないですかぁ」という台詞。ちょっと苦手です。肌色も顔タイプも体型もダイバーシティな時代です。いろいろ違ってよい。
自分の好みだって時間と経験とともに変わっていくもんです。子供の頃に食べられなかったセロリが大人になったら大好物になった、的なことってありませんか? 失敗を恐れるあまり、食べず嫌いや、やらず嫌いにならないように。診断パターンの内側にあるいくつものレイヤーを知ること、外側にある“マッチしないもの”へ興味を持つことも大切、と思うのです。発明とか発見とか、進化するときってじつはパターンの外側にあるものに気づくことだったりします。己を知ることは大切だけど、いちばんの近道は、診断よりも失敗や経験じゃないかな。ということで、診断系は飲み会のつかみ的に楽しむのがいいかもですね♡
THIS MONTH'S CODE
#ゲッターズ飯田
著書のなかでもとくに人気の「五星三心占い」シリーズは、累計500万部を突破という。私のまわりでも「当たる」と評判に。
#オルビスのアプリ
会員登録をすると、パーソナルAIメイクアドバイザーによる詳細な診断などが受けられるアプリ。パーソナルカラーや自分に似合うメイクがズバリわかります。
#ひるいちかさん
骨格診断スタイリスト。骨格、パーソナルカラーで似合う服を提案。最近Sサイズブランド《COHINA》とのコラボでも話題。