illustration: Shogo Sekine

#シスターフッドが世界を救う《東京#CODE》


 最近ハマったNetflixの韓国ドラマ「Mine」。財閥ファミリーを舞台にした二人の女性の物語です。セレブな家系というだけあってセットもファッションも、それはそれは豪華なのですが、素晴らしいのはそのストーリーです。嘘と秘密が入り混じり、韓国ドラマならではのドロドロサスペンス。主役の二人、キム・ソヒョンとイ・ボヨン演じる長男と次男の嫁。この二人の深い信頼と尊重と互いに助けあう姿がとにかく美しい。そしてついには敵だった愛人までも…。一方で男たちは権力と欲望に溺れる。そして、女性たちが連帯して手に入れる理想の生き方。おっと、これ以上はネタバレ注意(笑)。本当に心からスカッとするドラマでした。

 ここで描かれているのは“シスターフッド”です。HOODが意味するのは、連帯。姉妹関係、友人関係のなかで女性たちが連帯をするということです。映画でいえば『テルマ&ルイーズ』あたりが元祖でしょうか。『SATC(セックス・アンド・ザ・シティ)』や『ハスラーズ』、去年公開のNetflixドラマ『FOLLOWERS』もこのジャンルかな。最近目立つのは#MeTooの流れが少なからず影響しているかもしれません。

 人気のポッドキャスト番組「OVER THE SUN」はコラムニスト、ジェーン・スーさんとアナウンサー、堀井美香さんの女子二人のトークなのですが、これにも最近ハマっています。男に媚びず、ぶっちゃけて、お互いの青春時代にツッコミあったり。毎回爆笑しながらお二人の関係にほっこりします。

 かつて「女の敵は女」的なところもあったのだと思います。男子が強くて、女子は弱い、という固定観念が存在した時代。頼りがいがある男子を中心に社会が回っていました。しかーし、最近どうも男子が頼りない。弱体化しているように感じるのです(男性読者の皆さま、すみません。あくまで私の経験則です)。ストーカーや痴漢など、男性が女性をターゲットにした犯罪も多発しています。また、ホモソーシャルな政治、男性村のマッチョさがつくる窮屈さも限界がきているように思うのです。よくこのコラムでも触れておりますが、男性と女性というジェンダーの揺れが最近進んでいます。LGBTQ+、女性らしい男性、男性らしい女性。境界線は曖昧です。Z世代のなかでは、男女ともに攻撃性は低く、優しい女性的なコミュニケーションが基本になっているようにも感じます。

 つまり、ここでいう“シスター”とは、性別としての“女性”を指しているだけではありません。マッチョで戦闘的で変化に弱い男性的な社会に対し、優しくて、助けあい、対話が中心となった女性的な連帯社会のほうが生きやすい。かつての高度成長期や現代のスタートアップオラオラ社会は、低成長(または成長停止)時代にとって摩擦しか生みません。それよりも、お互いを助け、対話を中心に理想の生き方を見つけることのほうが大事なんじゃないか、と。

 私のまわりでも女性同士でシェアハウスしたり、一緒に仕事を立ち上げる人が増えてきました。お互いが助けあって、とてもハッピーに見えます。この互助の力、連帯の力こそが“シスターフッド”。性別を超えて、より優しい社会へ。未来は明るいですね。

THIS MONTH'S CODE

#Mine

作中で登場するファッションは、2021年SSコレクションがふんだんに使われているのもポイント。プラダ、マルニ、ドルチェ&ガッバーナ、ティファニーなど。

#FOLLOWERS

2020年から配信されている蜷川実花監督のドラマ。20代とアラフォー、二つの世代の女友達の友情が描かれている。

#OVER THE SUN

ポッドキャストで配信中の『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』。コラムニストや作詞家としても活躍するジェーン・スーさんは、TBSラジオで昼の帯番組も担当している。






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