五味太郎さく『みんな うんち』

【絵本に再び出会う】「みんな うんち」 面白がることから始まる

, コラム

 かがく絵本は、「なんで?」「どうして?」と子供の好奇心を引き出し、育む絵本です。中でも優れているのが、福音館書店の刊行する「かがくのとも」シリーズですが、私が幼稚園教諭になって、子供たちと初めて読んだ同シリーズが、五味太郎さんの『みんな うんち』(昭和52年)でした。

 子供は“うんち”が大好き。タイトルにその3文字を見つけるやいなや、笑いだします。「おおきい ぞうは おおきい うんち」これには納得。「ふたこぶらくだは ふたこぶ うんち」…えっ本当? 一瞬たじろぐと、すぐに「これは うそ!」と続き、子供も私もずっこけました。いろいろな動物のお尻から、さまざまな形態のうんちが出た後、「へびの おしりは どこ?」と問いかけます。う~ん、考えたこともありませんでした。最後は、生き物が正面を向いて好物を食べる姿が、次のページでは全員後ろを向いてうんちをする姿に。そして、「いきものは たべるから みんな うんちをするんだね」と結ばれます。

 子供たちの反応は変化しました。「うんち~」とふざける笑いは消え、「へぇ~面白い!」「どうして形や色が違うの?」「ぼくもコロコロうんちが出たことある」と真剣な表情です。

 “うんち”から、生き物の生きる世界が見えてきたことで、子供たちは“うんち”への見方を変えていきました。それは、自分や自分を取り巻く「本当の世界」をより深く知ろうとする姿です。心を動かして面白がることから「かがく」が始まることを、この絵本が教えてくれました。(林浩子)


LATEST POSTS