女性のココロとカラダのケアを考え、よりよい未来につなげる「Fem Care Project」。本誌編集長・日下紗代子が、さまざまな人にお話を聞きながら、女性の健康課題や働き方について考えていきます。
「わたし」以外の「だれか」を思う気持ち
昨年10月に「フェムケアプロジェクト」がスタートして、約半年が過ぎ、女性の健康や働き方について、さまざまな立場の方にお話を聞いてきました。女性の助けを求める声に応える企業や団体、サービスや商品の数々。そこにはいつも「誰かを助けたい」「苦しみを取り除きたい」という人の思いがありました。
プロジェクトの活動を続けていくなかで、とても印象的な言葉に出合いました。それは、会社のある後輩の一言です。「(生理などの不調について)自分よりも若い世代には ”しかたない”って言わせたくないんですよね」。ドキリとしました。以前の私は、少ししんどくても、そういうものだと思って乗り切っていたからです。しかし、それではダメだとプロジェクトを通じて気付くことができました。なぜなら、自分と同じ思いをしてほしくないという、一人ひとりの思いや行動が、大きなうねりを生み、社会を少しずつ変えているということがわかったからです。私も、もっと自分をケアしなければと気付かされました。
「 思いやりの基礎知識-生理って、どういうこと?-」と題した本誌2月号では、生理に関する巻頭特集を実施しました。読者の方から「女性の健康課題は、周りにも悩んでいる人がいるので積極的に解決すべきと思う」「自分が若い頃に持っていた羞恥心を若い方には感じてほしくない。若い方々がもっと幸せを感じられるような活動を期待している」など、常に自分以外の「だれか」を思う気持ちがたくさんありました。
人は、世代や立場によって考え方が異なります。女性特有の健康課題は症状に個人差もあり、プロジェクトのチームメンバー内でも、人によって課題意識の違いがありました。だからこそ、正しい知識を身につけ、他者の違う考え方を尊重する気持ちが大切だと実感しています。
「フェムテック」という言葉と、人の思いがもたらす未来
今月号の特集でお話を聞いた経済産業省の春口浩子さんからは、「フェムテック」という新たな言葉が、これまで表立って話しづらかった、女性の苦しみや悩みを言語化するツールになる可能性について教えていただきました。この連載でお話を聞いた、フェルマータの近藤佳奈さんや、ルナルナの日根麻綾さんは、将来的には「フェムテック」という言葉を使わずとも、女性特有の健康課題を当たり前に話ができる社会になっていることが理想であるとも言っていました。
いま「フェムテック」という言葉とともに、女性の健康課題に関する関心が高まっています。私は、このムーブメントが続き、さらに大きくなることによって、多くの人の生きやすい社会の実現につながると信じています。
自分自身を、あるいは身近なだれかを、どこまで理解できているのか。考えてみたり、話をしてみたり聞いてみたり。どんな一歩にも大きな意義があると思います。
フェムケアプロジェクトは、これからも続きます。より多様な企業や人たちと一緒に歩みを進め、社会にポジティブでやさしい風が吹くように、活動を続けたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

編集部では、本誌2月号の特集に関して読者アンケートを実施。「生理など女性特有の健康課題は、積極的に解決すべきだと思うか」という問いに対して、80%の読者が「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答。生理について「もっと知りたいと思った」、「家族やパートナーに特集の内容を伝えたいと思った」といった声もあった。
メトロポリターナ編集長
日下紗代子
10月からメトロポリターナ新編集長として就任。風邪を引かないのが強みだが、自身の身体のケアには少しウトイ自覚あり。

Fem Care Project
「フェムケアプロジェクト」は、産経新聞社が主催する、女性の心と身体の「ケア」を考え、よりよい未来につなげるプロジェクト。女性特有の健康課題や働き方について情報発信をしながら考えていく。
