金融苦手系女子のための新連載第1弾。お金の計算、節約が苦手なひよ子ちゃんの悩みに、ファイナンシャル・プランナーのヨーコ先生(甲斐洋子)が答えます。
金融庁が先月公表した、老後は公的年金以外に2000万円の蓄えが必要だとする報告書のニュースを見てすっかりパニックになってしまったひよ子ちゃん。さらに3000万円不足という試算まであることがわかり、落ち込んでしまいました。ヨーコ先生は「あくまで一例。人によって必要なお金は違う」と言います。
ひよ子 :ヨーコ先生、年金だけだと老後資金が2000万円、もしかしたら3000万円足りないってニュースになっていてどんどん金額が大きくなってワケがわかりません。
ヨーコ先生:ショッキングな数字よね。金融庁の報告書は、家計調査から、夫65歳以上、妻60歳以上の年金で暮らしている無職の夫婦をモデルに、二人とも元気に30年間生きると仮定して計算した、本当にざっくりとした数字なのよ。毎月約5万円赤字の生活を30年続けるとして、2000万円。もうひとつの試算は、そこへ住宅修繕費や介護費用、ローンの返済などを加味したら、金額が大きくなったと考えるとわかりやすいわね。
ひよ子 :なるほど。確かに…95歳まで2人とも元気に生きられるかどうかわからないし、毎月5万円も赤字だったら、さすがにちょっとずつ節約しますよね。
ヨーコ先生:それに、家計調査の調査対象は、単身世帯を含めて全国で約9000世帯。しかも、家計簿の提出に協力してくれる世帯のデータのみよ。家族が病院や療養所に入所している世帯は調査対象に含まれていないし、実際の高齢者の支出の平均値として信頼できるデータか疑問視する声もあるの。調査年によるブレも結構あるのよ。
ひよ子 :じゃあ、ほとんどの人はそんなに必要ないってことかしら。よかった~!
ヨーコ先生:そうとも、言い切れないわ。
ひよ子 :どういうことですか?
ヨーコ先生:ひよ子ちゃん、ズバリ聞くけど、あなたは将来年金をどのくらいもらえると思う?
ひよ子 :えーと…、正直なところ、もらえるのかどうかも不安です。
ヨーコ先生:そうね。年金受給開始年齢が原則60歳から65歳に引き上げられたのは知っているかしら? 日本の年金制度は、おおざっぱに言えば、現役世代の保険料で受給世代の支給をまかなう、大きな「保険」のような仕組みなのよ。少子高齢化、長寿化が今後も進むことを考えると、ひよ子ちゃんたちが受給世代になるころには、受取額が今より少なくなることや、さらに受給開始時期が先送りされる可能性は高いわ。
ひよ子 :報告書は、年金で暮らしている高齢夫婦家庭の収支を元にしているんでしたよね。前提になっている年金が減っちゃうってことは……いったいいくら必要なの!?