★食べ物だけど、税率10%?!
ひよ子 :わかりにくいといえば、お菓子。高価な容器に入っているために税率10%になるものもあるらしいけど、スーパーで売っているお菓子なんかは税率8%ですよね?

ヨーコ先生:ズバリ商品によるわ。
ひよ子 :ええ!? だって、医薬品でもなんでもないですよ。
ヨーコ先生:お菓子が軽減税率の対象となるかの判断の分かれ目は「一体資産であるかどうか」よ。たとえば、おもちゃ付きで有名なキャラメル菓子「グリコ」は税率10%。ほかに駄菓子のなかにも、10%になる商品があるわ。
ひよ子 :ああ、一体資産か…。でも、漆塗りの重箱にはいったおせちとか、おもちゃ付きのお菓子とか、食品に食品以外の資産を組み合わせて一つの価格をつけているものを指すんですよね。グリコはともかく、駄菓子にはおもちゃなんて付いていないのに?
ヨーコ先生:ちょっとイメージが違うからわかりにくいわよね。ひよ子ちゃんが言うような、高級な容器に入った食品やおもちゃ付きの食品なんかも一体資産だけど、容器に遊びやシャレの機能を持たせた駄菓子があるでしょう。たとえば、食べたあとにおもちゃとして遊べるような、マイク型やペンシル型の商品。これらの一部も一体資産に該当するのよ。
ひよ子 :一部っていうのは?
ヨーコ先生:たとえば、容器のふたが笛になっていて遊べる「プチラムネ」(チーリン製菓)は一体資産で税率10%だけど、同じメーカーが製造している「ゴーゴーラムネ」はシールの貼付面積が大きすぎて笛が使えないので一体資産ではなく、軽減税率対象よ。ステッキチョコも、「ただのデザインであって、おもちゃとしての強度は不十分」として、メーカーは資産に当たらないと判断しているわ。
ひよ子 :メーカーが判断するんですか? 国税庁じゃなくて?
ヨーコ先生:そうなの。国税庁は指針を示したうえで、最終的には「一体資産」にあたるかどうかを「メーカーが判断するもの」としているわ。容器自体が再利用を前提とした「おもちゃ」なのか、「通常必要な容器」なのか。あとは、一体資産であっても、①本体価格が1万円以下②食品がしめる売値や原価の割合が3分の2以上、この2つの条件を満たせば軽減税率対象になるわ。このため、一見似ていても、商品やメーカーによって税率が異なるケースが出てきているのよ。
ひよ子 :うーん。容器におもちゃ機能のある駄菓子は原則軽減税率対象外で、お菓子がたくさん入っているか、容器が安ければ対象になるってことですかね。
ヨーコ先生:分かりやすく言うとそうなるけど、実際はそうでもないわ。たとえば、オリオンのマイク型容器に入ったラムネ菓子「いちごde Eカラ」も、カメラ型の紙箱に入ったラムネ菓子「食べルンですHi」も、ペン先にクレヨンが付いた「くれよんラムネ」もどれも一体資産だけど、食品の占める価額の割合が3分の2以上だった「食べルンですHi」だけが軽減税率対象よ。マイク型容器入りのラムネ菓子は他社も出しているけど、「プレイマイク」(マルタ食品)は食品の価額が3分の2を超えたため軽減税率対象なのよ。

ひよ子 :複雑ですね……販売店の人は全部見分けられるんですか?!
ヨーコ先生:そうね。実際スーパーなど大手量販店で税率10%の駄菓子を敬遠する動きが出ていて、あるメーカーでは軽減税率対象外のお菓子の出荷量が減ったそうよ。とはいえ、駄菓子メーカーには中小企業も多く、既存の容器を変えたり、容器の原価を下げたりすることがすごく難しいのよね。食品の原価をおさえて容器や包装にお金をかけた商品が淘汰されることや、軽減税率対象になるよう商品を作り直すことが、果たして経済成長にプラスになるのかしら。
ひよ子 :それに好きだったお菓子がお店で買えなくなって、なくなっちゃうのは悲しいです。
ヨーコ先生:駄菓子屋のお客は子供だから、昔は消費税を取らない駄菓子屋も多かったわ。10%となると、そうもいかないかもしれないわね。駄菓子業界からも「本体価格300円以下の商品については軽減税率対象とすべき」といった意見も出ているわ。
ひよ子 :軽減税率制度の対象を広げれば、その分減収になってしまうから線引きが難しいのかもしれないけど……。よし! 大好きな駄菓子がなくならないように、私も久しぶりに駄菓子屋さんに行って駄菓子を〝オトナ買い〟しちゃおうかな!
ヨーコ先生:いつもなら無駄遣いはダメ! って怒るところだけど、駄菓子屋は私も久しぶりに行ってみたいわ。ひよ子ちゃん、一緒に行きましょう。
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金融苦手系女子のための新連載。毎月第2、第4水曜掲載。お金の計算、節約が苦手なひよ子ちゃんの悩みに、ファイナンシャル・プランナーのヨーコ先生(甲斐洋子)が答えます。
次回も〝増税対策〟総復習。皆さんの疑問、質問に答えます。
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ひよ子:都内のメーカー勤務、素敵な男性との出会いを夢見る28歳、典型的な金融苦手系女子。ズボラなうえに数字が苦手で節約や家計簿も続かない。将来の不安に駆られてファイナンシャル・プランナー(FP)の勉強を始めたものの、挫折続き。趣味は映画鑑賞、ウィンドーショッピング、カラオケ。スイーツや流行のスポットも大好き。

ヨーコ先生(甲斐洋子):FPをめざすひよ子ちゃんの先生。フリーアナウンサー兼ファイナンシャル・プランナー(CFP®)。テレビ東京「株式ニュース」キャスターを務め、その後も経済・株式分野を中心に活動。FPとしてセミナー講師、講座の企画、執筆、個別相談なども担当している。趣味はフラメンコ、旅⾏。最近のお気に⼊りは台湾。