(左)『台所のおと』著:幸田文 580円 講談社文庫 (右)『小林カツ代のきょうも 食べたいおかず』著:小林カツ代 640円 河出文庫

《いか文庫 本日は閉店なり》“台所”で本を読んでみるのはイカが?


店主(以下 店) :バイトちゃん、おつかれさまー!ねぇねぇ、これさっき読みはじめたんだけど、お腹減ってきちゃった!

バイトちゃん(以下 バ) :なんでしょう?ごはんの本ですか?

店:そう!『小林カツ代のきょうも食べたいおかず』です!

バ:料理研究家の小林カツ代さんの本ですね。

店:カツ代さんが生前、ラジオや料理教室なんかで語った「料理の作り方」を文章化した本なんだけどね。レシピ集なのに笑っちゃうフレーズがたくさん出てくるの。

バ:レシピ集なのに笑っちゃう!?

店:「ごま油を、ピャーッっとやります。ピャーッ、っていうのはね、誰の呼吸でもだいたい大さじ1なの」とか、「ジャッジャッジャッジャッ…と炒めてください」「(きのこを)ピョッピョッと裂いて」とか、擬音が多いの。

バ:声に出して読みながら、料理してみたくなるなぁ。

店:「イカはイカんの?」っていう、イカでも代替可能なタコ料理のレシピのページもあるよ。

バ:イカでもいいタコ料理のレシピ、気になる…。私も読んでみます!ところで、台所といえば、『台所のおと』という小説を最近読んだんですけど。

店:おぉ、幸田文さんの小説だね。

バ:小説の題材も、文章も、どうしたらこんなに五感を研ぎ澄ませられるの?って思うくらい繊細で。

店:ふむふむ。

バ:この小説は、病気で寝ている夫が、台所の妻の„ 料理をする音“に耳を傾けるところから始まるんですけどね。

店:台所の音って、気になるよね。

バ:その妻が立てる音が、いつもと違うなぁということに気づき、そこから2人のこれまでの夫婦関係について、あれこれ振り返る…という物語です。

店:音の違いに気づくっていうこと自体、とっても繊細だ。

バ:食材を切る音、湯切りの音、炒めたり混ぜたりする音、台所って音の宝庫ですよね。音の大きさやリズムで、相手の心を読むことができるなぁと気づかされました。台所に限らず、日常生活で「人が立てる音」に注目することは大事だなぁと。例えばパソコンのキーボードを叩く音とか、ドアをしめる音でも、相手の心の変化が表れますよね。

店:うんうん。

バ:今、引っ越しの準備で慌ただしい日々が続いているので、いろんな日常の音の変化を聞き逃さないようにしないと!とも思ったし、ドタバタと音を立てて周囲の人を不快にさせないようにしないと!とも思いました。

店:バイトちゃん、今月ベトナムに引っ越しだもんね…。大変だと思うけど、頑張って!

バ:はい! いか文庫のベトナム支社は、任せてください! ごはんをたくさん食べて、年末年始も頑張ります!






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