店主(以下 店) :バイトちゃん、おつかれさまー!ねぇねぇ、これさっき読みはじめたんだけど、お腹減ってきちゃった!
バイトちゃん(以下 バ) :なんでしょう?ごはんの本ですか?
店:そう!『小林カツ代のきょうも食べたいおかず』です!
バ:料理研究家の小林カツ代さんの本ですね。
店:カツ代さんが生前、ラジオや料理教室なんかで語った「料理の作り方」を文章化した本なんだけどね。レシピ集なのに笑っちゃうフレーズがたくさん出てくるの。
バ:レシピ集なのに笑っちゃう!?
店:「ごま油を、ピャーッっとやります。ピャーッ、っていうのはね、誰の呼吸でもだいたい大さじ1なの」とか、「ジャッジャッジャッジャッ…と炒めてください」「(きのこを)ピョッピョッと裂いて」とか、擬音が多いの。
バ:声に出して読みながら、料理してみたくなるなぁ。
店:「イカはイカんの?」っていう、イカでも代替可能なタコ料理のレシピのページもあるよ。
バ:イカでもいいタコ料理のレシピ、気になる…。私も読んでみます!ところで、台所といえば、『台所のおと』という小説を最近読んだんですけど。
店:おぉ、幸田文さんの小説だね。
バ:小説の題材も、文章も、どうしたらこんなに五感を研ぎ澄ませられるの?って思うくらい繊細で。
店:ふむふむ。
バ:この小説は、病気で寝ている夫が、台所の妻の„ 料理をする音“に耳を傾けるところから始まるんですけどね。
店:台所の音って、気になるよね。
バ:その妻が立てる音が、いつもと違うなぁということに気づき、そこから2人のこれまでの夫婦関係について、あれこれ振り返る…という物語です。
店:音の違いに気づくっていうこと自体、とっても繊細だ。
バ:食材を切る音、湯切りの音、炒めたり混ぜたりする音、台所って音の宝庫ですよね。音の大きさやリズムで、相手の心を読むことができるなぁと気づかされました。台所に限らず、日常生活で「人が立てる音」に注目することは大事だなぁと。例えばパソコンのキーボードを叩く音とか、ドアをしめる音でも、相手の心の変化が表れますよね。
店:うんうん。
バ:今、引っ越しの準備で慌ただしい日々が続いているので、いろんな日常の音の変化を聞き逃さないようにしないと!とも思ったし、ドタバタと音を立てて周囲の人を不快にさせないようにしないと!とも思いました。
店:バイトちゃん、今月ベトナムに引っ越しだもんね…。大変だと思うけど、頑張って!
バ:はい! いか文庫のベトナム支社は、任せてください! ごはんをたくさん食べて、年末年始も頑張ります!