エア本屋の「いか文庫」。閉店後の店内で交わされる店主とバイトちゃんのイカした会話、本のお話
店主(以下 店):ついにロンドン勤務も終了だね。
バイトいも(以下 いも):ですね~。長かったような、あっという間のような。
店:ロンドン生活で、気づいたこととかある?
いも:いろいろあるよ。たとえば、イギリスの人の好物はピザとカレーとか(笑)。いちばん驚いたのは、雨の街って言われてるのに革ジャン好きで傘をささない。
店:面白い!
いも:でしょう?でも、雨は本当によく降るけど、シャワーみたいで降ったりやんだりするの。だから傘が邪魔になるんだよね。それで雨や風を通さない革ジャンやオイルドコートが人気なのだ。
店:日本もそんな雨なら、雨嫌いにならなくていいのになー。
いも:雨が好きになれそうな本を見つけたよ。『小説 言の葉の庭』っていう本です。
店:それって新海誠監督の映画じゃなかった?
いも:そう。その映画を監督自らが小説化した本だよ。
店:どんな物語だっけ?
いも:親の離婚をきっかけに、いろんなことがしんどくなっていた少年が、ある雨の日に満員電車から逃げ出すの。行き着いた先の公園で、ひとりの女性と出会うんだけど、彼女もまたいろいろあって職場から逃げ出してきていてね。雨の日にだけ、その公園で会う関係になった少年と女性が関係を深めていくお話です。
店:雨が待ち遠しくなりそう。
いも:情景描写も素敵で、雨の日が好きになったよ。
店:私は最近、主人公が気象予報士を目指すドラマを見てるよ。天気予報って、こんなに重要だったんだって、毎度感心する。
いも:たとえば?
店:漁業、林業みたいな自然が大きく関わる仕事もそうだし、スポーツの試合とか、災害予防とか。いろいろなところで必要とされる存在なんだなって。それで読んでみたのがこの本『世界でいちばん素敵な雲の教室』。雲研究者、荒木健太郎さんの本だよ。
いも:雲を紹介しているの?
店:そう。Q&A方式で、雲の種類やつくられ方とかを説明してくれるの。荒木さんは、雲と仲よくなることで日々を楽しんでほしいと強く思っているそうで、雲のことを「この子」って呼ぶんだよね(笑)。
いも:愛情に溢れてる(笑)。
店:ご自身で撮った写真にコメントもつけてるんだけど「めっちゃきれい」とか「食べちゃいたいくらい可愛い」とかも。そうそう、ロンドンと言えばの「霧」や「雲」も、発生する場所が違うだけで、じつは同じものなんだって。
いも:知らなかった! 楽しく勉強できるのはいいね。ロンドンの霧も、眺め納めしよう!
店:うん、ぜひ愛でてきて!