エア本屋の「いか文庫」。
美術鑑賞は、本でもっと楽しくなる。
店主(以下 店):バイトぱん、おつかれさま。この本、読んだ?
バイトぱん(以下 ぱん):店主、おつかれさまです! 『妄想美術館』って、楽しそうなタイトルですね。まだ読んでないのですが、どんな本なんですか?
店:アートを溺愛している、作家の原田マハさんとマンガ家のヤマザキマリさんが、世界中の美術館について語りあう本だよ。
ぱん:なにかを妄想するんですか?
店:いままで訪れた美術館をそれぞれ紹介したり、共感しあったりして、アート作品を見ている妄想をする、という感じかな。日本人は、あの作家の展覧会だから美術館に行こうと思うけど、ヨーロッパの人たちは、散歩ついでに美術館に寄ろうっていう感覚だそう。お二人もその楽しみ方だから、新しい着眼点を教えてもらえるの。
ぱん:なるほど、読んでいる私たちも妄想して楽しめる本なんですね。たとえばどんな着眼点が?
店:ルーヴル美術館で好きな作品は?っていう話題で、パオロ・ウッチェロっていう画家が挙がるんだけど、作品の写真を見てびっくり。聖母子像なのに、まさかのコミカルな顔と謎の矢印が描かれてるの。なんじゃこりゃ!?見に行ってみたい!ってなるよ。
ぱん:うわ!ほんとだ!(笑)
店:有名だから人気だからじゃなく、自分の感性にまかせて作品を見に行っていいんだなって、気が楽になるよ。
ぱん:そういえば私も最近、アートは面白いなって思えた本があるんです!アートディレクター・ナカムラクニオさんの『こじらせ美術館』は読みましたか?
店:まだだけど気になってた!
ぱん:芸術家に詳しくない私でも知ってるような名の知れた画家たちの、盛大にこじらせた人生が紹介されているんですが、そのこじらせ方が半端じゃなくって…。
店:むむむ。すごく興味津々。
ぱん:妻子がいるのに、よそに家庭をつくってしまうのはよくある話だし、イタリアの画家・カラヴァッジョなんて、何度も殺人を犯して投獄と脱獄を繰り返しながら、鬼気迫る作品を描き続けていたんだそうです。多くの画家が、波乱に満ちた人生を送っていたんですよね。
店:まさか、そんな背景があったとは知らなかった!
ぱん:著者なりの考察も交えて解説されているので、画家たちがどんな思いで絵を描いていたのか、すごく考えさせられました。
店:人となりを知ると、画家をもっと身近に感じられそうだね。
ぱん:それに、読んだ後にあらためて作品を見ると、また違った魅力を感じられそうですよね。
店:うんうん。じゃあ次の休みは、美術館へと繰り出しますか!
ぱん:はい!自分の好きなアートを見つけに行きましょう!