ジェンダーギャップの解消やD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)の実現に向けて、いま、理解を深めるきっかけをつくる商品やプロジェクトが生まれている。ここでは、注目したい2つの事例を紹介していく。
“しかたない”を
“しかたなくない”に変えるために
オンラインピル処方サービス「スマルナ」を展開するネクイノと渋谷未来デザインが、昨年12月にスタートした「#しかたなくないプロジェクト」。世の中にある、いつのまにか “しかたがない”とあきらめていることを可視化し、誰もが自分らしくいられる社会の実現を目指していくプロジェクトだ。
その活動の第一弾として、性やジェンダーギャップ、働き方などにまつわる、“しかたなくない”ことを取りあげたフリーペーパーを制作し、渋谷109前で配布。街頭には、「生理の日も休めないのはしかたなくない」「自分さえガマンすればと諦めるのはしかたなくない」といった、さまざまな“しかたなくない”をビジュアル化したポスターも張り出された。SNSでは「#しかたなくない」ハッシュタグをつけた投稿が呼びかけられ、とくにツイッターでは、さまざまな年代からの反響があった。このプロジェクトの発起人である、ネクイノの代表・石井健一さんは、社会全体で課題を認識していくためにも、「一人ひとりが声を上げていくことが大切」だと語る。ただその一方で、声を上げるだけでは問題が解決しないということについても、次のように語ってくれた。
「ESGやSDGsなど、社会ではいま、さまざまな課題に向き合う活動が増えていますが、課題を安定的に継続して解決していくためには、ロールモデルとなる事業を生み出していくことが次なる課題だと考えています」
今後、このプロジェクトでは、フィールドの違う企業や行政などと手を取りあいながら、あらゆるかたちで“しかたなくない”ことを発信していくという。
2022年2月からは、#しかたなくないプロジェクトの第一弾実証アクションとして、正しい性に関する知識を“共に育む”ことを目的とした「性共育プロジェクト」がスタート。参加企業を募りながら、今後も新たな方法で発信を続けていくことで、“しかたなくない”社会を実現させていくという。

渋谷街頭に張り出されたポスター。フリーマガジンは2021年12月、渋谷109前にて1万部を配布。

いまのところ、フリーマガジンの増刷は未定だが、WEBでは記事の一部を公開しているので、ぜひチェックしてみてほしい。