おうちで映画を見るなら 第1回 《映画でぶらぶら》


本誌連載「映画でぶらぶら」でおなじみの映画誌編集者・月永理絵がお届けするWEB特別企画。おうちで映画を楽しむオススメの方法として、映画配給会社によるパックプランを全3回にわたってご紹介します。まず第1回目は、配給会社によるその新たな取り組みと、各社のさまざまなプランについて。

 

■配給会社で映画を選ぶ、とは?

 

見たい映画を選ぶ基準や理由は人それぞれ。俳優や監督の名前で選ぶ人もいれば、ちょうど近くの映画館でやっていたから、とか、チラシや予告編がおもしろそうだったから、という軽い気持ちで見る映画を決める人もいる。アカデミー賞やカンヌ映画祭など話題の映画賞を取った映画は見逃せないとか、この脚本家が手がけた前の作品が良かったから次回作もぜひ見てみようとか、映画好きならではの理由もある。

 

どんな理由でもいいのなら、映画配給会社で選ぶのもおもしろそう。とはいえ、配給会社といわれても、すぐにはピンとこない人も多いはず。配給会社とはいったいどんな仕事をしているのだろう? 

 

簡単にいえば、映画の上映権を製作者から買い付け、映画館へ配給する会社のこと。洋画の場合は、邦題や字幕をつけ、宣伝の方針を決め、ポスターなどの販促物も宣伝会社などと一緒につくっていく。いわば、製作と興行のあいだに立ち、映画の公開に力を尽くす人たちだ。特に海外映画においては、マイナーな作品やまだ一般には知られていない新人監督の作品など、なかなか買い手がつかず、日本で紹介されにくい作品はたくさんある。だからこそ、作品への強い思い入れを持ち、小さな作品にも目を配る日本の独立系配給会社の存在はとても貴重だ。日本で多様な映画を楽しめるのは、こうした配給会社があるからこそ。

 

■配給会社が始めた新たなプロジェクト

 

そんな独立系の配給会社が、今、大きな困難に見舞われている。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言により、4月7日以降、日本中のほぼすべての映画館が営業を休止した。5月末に宣言が解除され、ようやく再開し始めたとはいえ、当分は映画館の座席数を半分ほどに減らし、上映回数を減らしたうえでの営業が推奨されている。当然売り上げは通常の半分以下となるだろう。映画館での興行収入が減れば、配給会社の売り上げも同様に減るしかない。

 

この苦境を乗り切るため、ふだんは独立して活動している配給会社たちが手を取り合い、あるプロジェクトを立ち上げた。その名も『Help! The 映画配給会社プロジェクト』。緊急アクションとして、ネットで映画を見られる「配給会社別見放題配信パック」を提供している。映画館での上映以外の方法で、映画を観客に届ける新たな試みだ。サイトに登録し好きな配給会社プランを選ぶと、それぞれの会社が配給する作品が3ヵ月間見放題となる。配信されるのは、映画好きにはたまらないコアな作品ばかり。再開した映画館へ通うのももちろん楽しみだけれど、家でゆっくりと過去の名作や見逃した傑作と出会うのもいい。

 

配給会社は、ふだん表に出てこない裏方仕事。突然その名前で配信パックを選んでと言われてもなかなか難しい。そこでまずは、それぞれの配給会社の特徴を解説し、次回からはなかでもおすすめの作品を紹介していきたい。どの配給会社も「これは絶対に日本の観客に見せたい!」と自信を持って作品を選んでいるわけで、そのラインナップからは、それぞれの会社が持つ特徴や熱いメッセージが必ず見えてくる。リストにある作品名をじっくり眺めながら、自分の好みに合うパックを選んでほしい。

 

「監督も俳優も知らない映画だけど、○○が配給してるならおもしろそう」なんて、新たな映画選びの基準になるかもしれない。

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