illustration: Yu Fukagawa text: 千代里

言葉にも色や形がある《お多福美人講座》


 食事どきの混雑しているお店の入り口で、どこかに名前を書くのかなと思いながら店員さんに声をかけると、矢で射ったような「少々お待ちください」という言葉が飛んできた、という経験はありませんか?(笑)そんなとき、なぜか怒られたような、否定されたような気になることもあると思います。また逆に、まあるくほがらかな「はいただいま」という返事があったときには、状況をちゃんと把握して、受け入れてもらったような気がするかもしれません。

 日本は言霊の幸わう国。忌み言葉や敬語があったりして、言葉そのものや言葉が生み出す人と人との関係性を大切にしてきました。だから、お店の人目線で「(あなたが)待って」と言われるより、自ら寄り添おうとする「ただいま(参ります)」のほうが心地よく感じるのは当然と言えば当然なのですが、もし、やさしく笑顔で「少々お待ちください」と言われたら、嫌な気持ちにもならないはずです。

 会話では言葉選びも大切ですが、その言葉を、どんな口調で、どんな速さやトーンで言うかもまた、ときとして言葉そのもの以上に意味を持ちます。もし、自分が話す言葉の色や形が見えるとしたら、それはどんな形でどんな色でしょう。

 「いいよ」と言った言葉が”モヤモヤした灰色”なら、本心ではよくないのかも。ほかにお互いによい方法を探すのがいいかもしれません。相手のことを考えているつもりの言葉が、”トゲトゲして怒気を含んだドス黒い色”だったら、まずは自分の本音を見つめてみる。もしそこにあるのが怒りや悲しみなら、「あなたのため」という言い方ではなく、「私はこれが嫌だったの。悲しいの」と伝えるほうが、自分を癒やし、相手にしみるメッセージになるかもしれませんね。自分の本音に気づいたり、人も自分も大事にするために、「言葉の色や形」に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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