あの頃の思い出がもっと大切なものに
2000年代初頭の大阪と東京を舞台に、「ハロー!プロジェクト」(以下ハロプロ)ファンたちの青春をリアルに描いた映画『あの頃。』。主演を務めるのは、俳優・松坂桃李。松坂が演じるのは、ハロプロに青春を捧げるアイドルオタクの劔樹人。ある日、劔は友人から渡された「♡桃色片想い♡」のミュージックビデオを見て衝撃を受ける。さらに、偶然誘われた“ハロオタ”の集いによって、アイドルオタクの道へ足を踏み入れることになる…。世界が一変したいま、コミカルで思わず微笑んでしまうような作風を熱望していたという松坂。この役のオファーを受けたとき、ある思いを感じたという。
「僕が中学の頃、そこらじゅうでハロプロの音楽が流れていました。そのとき、偶然にも上級生として松浦亜弥さんがいらして。その記憶が濃く残っていたこともあり、この役のお話には運命めいたものを感じました」
しかも、アイドルを〝推し〞とする主人公には、松坂自身も深く共感できたという。
「好きなものがゆらぐことのない劔には、とても共感します。僕自身も、学生時代から聞いている大好きなバンドの音楽があったり、好きなゲームがあって。それなしには、いまの自分はありえません。そういうものがある人生って、素敵だなと思います」
どうしようもなく愛おしく感じてしまうものや、かけがえのない思い出がつまった「あの頃」を、きっと誰もが持っているはず。最後に、読者へのメッセージを。
「決して無駄ではなかったと、あとから気づいても、当時のように戻ることはなかなかできません。でも、あの頃があったからこそ、愛おしさや懐かしさが甦ってくるし、いまを大切に思える気がしています。僕自身の思い出も、より大切に思えるようになりました。見ていただく人にとっても、心温まる作品になればうれしいです」
まつざか とおり
1988年10月17日、神奈川県生まれ。2009年、『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビュー。2020年『新聞記者』(19)で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞受賞。2021年公開の映画に『いのちの停車場』、『孤狼の血 LEVEL2』、『空白』などがある。

『あの頃。』
2021年2月19日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
原作:劔樹人
監督:今泉力哉
出演:松坂桃李/仲野太賀/山中崇ほか